2003年12月16日(火) 06時07分
巨人不手際で「入来移籍問題」ドロ沼化(スポーツニッポン)
無言で車に乗り込む入来
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日本ハムへのトレードが決まった巨人・入来祐作投手(31)の代理人を務める吉田朋弁護士(29)と、日本ハムの三沢今朝治取締役管理担当(62)が15日、都内のホテルで初めて話し合いを行った。来オフのポスティング・システム(入札制度)でのメジャー移籍を希望した入来側に対し、三沢取締役はあくまでもポスティング拒否の姿勢を示した。また、交渉決裂となった場合にはトレードの白紙撤回と、巨人側への法的手段に出る構えを示唆。入来側は長期戦も覚悟して交渉を続ける強硬姿勢を示しており、最悪の場合には現役引退となる可能性も出てきた。
入来側との交渉を終え、千葉・鎌ケ谷の球団事務所に戻った三沢取締役は憤りを隠せなかった。この日、都内のホテルで行った初交渉の席で、入来側から出たのは最悪の要求だった。
「(吉田)弁護士の方から、希望としてポスティングを1年でしたいという話が出た。それだったらトレードはやめる。ノーと言った。その話は出ないと思っていたのでビックリした」
入来側の要求は、来オフのポスティングによるメジャー挑戦。14日には入来自身が「日本ハムでプレーしないことには何も始まらないし、トレードには従うつもりです」とメジャー封印を示唆していたが、やはり夢は捨て切れなかった。だが、日本ハム側にしてみれば今回のトレードに絡む特別な事情ゆえに納得できるはずもない。
日本ハムと巨人の間で、井出と入来の交換トレードが成立したのが9日のこと。それまでの交渉で、三沢取締役は巨人・三山球団代表に対し「入来がポスティングを要求するならトレードはない」と再三訴えていた。一時は誓約書まで取ろうとしたが、三山代表から「大丈夫」との確約を得たため、トレードに合意。14日にも電話で三山代表に再度、確認をとったところ「ポスティングを含まないトレードであることは入来サイドに伝えてある」との返答だった。三沢取締役は「オレが言ったことは全部(巨人が入来側に)伝えていることになっている。でも、実際は伝わっていなかった。駄目なら?それは巨人に訴えます。うまくいかなかったらやりますよ」と巨人側に対し法的手段に出ることも示唆した。
あくまでも、ポスティングには否定的な見解を示す日本ハム側に対し、交渉を行った吉田弁護士はこの日、またも文書で事態を説明。交渉の中で「巨人サイドより日本ハム球団の意向を聞いたことはない」と巨人側の不手際を強調。ポスティング希望についても「長期戦になる可能性はある。1月31日を越えるかもしれないというのは頭の片隅にはあります」と来季契約を結ばないまま巨人の保留選手としてキャンプインを迎える覚悟も示した。トレードの白紙撤回となれば、入来側は再び巨人に対しポスティングを許可してくれる球団へのトレードを訴えることになる。だが、受け入れ先がなければ最悪、行き場を失った入来が引退の道に追い込まれる可能性は大きい。巨人の不手際がからんだ三つどもえのトラブルは最悪の事態へと進みつつある。(スポーツニッポン)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031216-00000000-spn-spo