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全国どこに住む市民でも簡単に法律サービスを利用できるように拠点を整備する「司法ネット」構想の骨格が固まった。全国の市町村の8割以上で弁護士が1人もいないという現状を改め、司法を身近なものにしようと、政府の司法制度改革推進本部(本部長・小泉首相)がまとめた。構想では、運営の中核として独立行政法人「リーガルサービスセンター」(仮称)を新設、各地に地方事務所を設けてネットワーク化する。スタッフには弁護士を雇用するほか、国からは判事補や検事が派遣される。
同本部は、関連法案を来年の通常国会に提出する方針だ。06年の業務開始を予定しており、全体の予算規模は数百億円にのぼる見込みだ。
センターは、(1)法律上のトラブルの相談窓口になって解決への道案内をする(アクセスポイント)(2)資力の乏しい人に裁判費用を立て替える(民事法律扶助)(3)容疑者段階から迅速かつ確実に国選弁護人を選任できるようにする(公的刑事弁護)(4)弁護士の足りない地域で、法律サービスを提供する(司法過疎対策)(5)犯罪被害者に必要な支援を行う−−の五つの業務を担う。
センターは東京に本部を、各都道府県に少なくとも1カ所の地方事務所を置く。役員は公務員以外の有識者などから任命されるが、設立や運営には最高裁もかかわる。特に公正中立な判断が必要な弁護士の雇用・解任などについて審議するために、法曹三者や有識者でつくる「委員会」をセンター内に設ける。
各地の事務所は、インターネットなどを活用して弁護士会や地方自治体の相談窓口と連携。このうち、司法過疎地域に置く事務所は、弁護士のサービスが十分に定着したら撤退する。
センターは、3〜5年の「中期目標」を策定し、その管理や会計監査などを通じ、運営の効率化、透明化を図る。
今後の最大の焦点は、公的刑事弁護のあり方だ。重大な刑事事件の大半はセンターの弁護士が担うことが予想され、日弁連の一部には「センターの主務官庁の法務省が弁護活動に介入してこないか」とする反対の声も根強い。「刑事弁護と被害者支援が両立するのか」という疑問も浮上している。
司法ネット構想については今月、推進本部の顧問会議(佐藤幸治座長)が「国民の正義へのユビキタス(時空自在の)アクセスを保障するという理念にふさわしい内容にすべきだ」と注文をつけており、これを踏まえて同本部がその骨格をまとめた。司法ネット構想は今月下旬に正式に公表される見通しだ。(12/15 03:41)