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2003年12月10日(水) 13時01分

社説1 「情報格差」是正へ日本の役割は大きい日経新聞

 21世紀の情報社会のあり方を討議する「世界情報社会サミット(WSIS)」が10日、スイスのジュネーブで始まった。先進国と発展途上国とのデジタルデバイド(情報化に伴う経済格差)問題など、情報技術(IT)の進展がもたらす様々な課題を国連の場で話し合う。

 会議のテーマとしては情報格差を解消する具体策など4つを設定、ほかにも民間企業や非政府組織(NGO)が様々な関連行事を催す。最終日には行動計画を示す「WSIS宣言」を採択、2005年秋の次回会合で達成度合いを確認する。

 宣言の中には通信インフラ整備のほか、セキュリティー対策、電子政府、情報教育、メディアの役割などが盛り込まれる予定だが、途上国との間でインターネットの国際管理が大きな争点となる見通しだ。

 インターネットの住所表示にあたるドメインの管理は技術の発祥地である米国が担ってきたが、国際的な需要拡大を受け、非営利民間組織のICANNに役割が移った。しかし実際の運営は米国主導の色彩が強く、中国など途上国側は国際電気通信連合(ITU)など国連機関への移行を求めている。

 特にインターネットのアドレスは米国が7割以上を保有し、中国など途上国の利用を将来、阻害しかねない。日本はアドレス数が大幅に増える次世代規格の「IPv6」を推進しており、今後の情報家電の広がりなどを考えれば、中国との連携も視野に入れるべきだ。

 だが注意すべき点もある。インターネットの成長は民間の自由な研究開発や自助努力によるが、途上国側は国連や政府の関与を強く主張している。ともすれば途上国側が結束して技術革新にブレーキをかける恐れもある。日本は途上国に配慮しながらも、民間主導の枠組みを堅持する姿勢を示すことが重要である。

 デジタルデバイドが国際的に注目されたのは2000年夏の九州・沖縄サミットが最初で、沖縄IT憲章では情報化の推進と格差の解消が宣言された。その時の事務局を務めた日本としては、今度は途上国との間で指導力を発揮する時といえる。

 一方、世界経済フォーラムの「世界IT報告」で日本は前年の20位から12位に浮上したが、海外からは「日本の競争力低下は情報化の遅れにある」と見られている。しかしいつでもどこでも情報が得られるというユビキタス情報技術では日本は高い潜在能力を持つ。日本の産業競争力復活のためにも情報社会サミットでの主導権発揮を期待したい。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20031210MS3M1000P10122003.html