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内部告発者が雇用主から報復されないよう民事ルールを定める公益通報者保護法案(仮称)の骨子案を、内閣府が10日、国民生活審議会の消費者政策部会で明らかにした。報道機関など外部に通報した人の保護要件が、今年5月に出された同部会の報告よりも狭められ、10日の部会では「これではかえって通報をしにくくなるのではないか」との批判が出た。内閣府は一般から意見を公募した上で、3月までに国会に法案を出す考えだ。
勤め先の企業や役所、従業員などが刑法に触れるなどの違法行為をしていたり、その恐れがあったりする場合に、働く人たちが、勤め先や行政など一定の相手先に通報することを「公益通報」と定義。派遣労働者が派遣先の問題を通報したり、下請け労働者が元請けについて訴え出たりするケースも含めた。
一定の要件を満たす公益通報を理由にして降格や減給など不利益な取り扱いをすることを禁止。解雇は無効とした。
今後、議論の焦点となりそうなのは、報道機関など外部へ通報した場合の取り扱いだ。5月の同部会の報告書では、行政機関に通報したのに何の対応もないときは、外部に通報しても労働者の立場は守られる、とされた。ところが、今回の案ではそれが抜け落ちた。外部通報をした人が保護されるのは、勤め先企業などに訴え出たのに調査さえ行われないなど、例外的な場合に限られた。「内部告発を抑制しかねない」と批判された5月の報告書よりも、外部通報の道がさらに狭められた形だ。
10日の部会では、委員の間から、「行政が何もしなかった時にどうなるか、その先が書いていない」「通報の内容が犯罪行為に限定されている」「公益通報者を保護しようという趣旨を生かすものになっていない」との意見が出た。内閣府国民生活局の担当課長は「現状より通報しにくくなることはないのではないか」と反論した。(12/10 11:55)