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鹿児島県川内市で「スーパーのトイレで4歳女児が中学生に暴行された」といううわさが拡大し、父母らを不安に陥れている。調査の結果、「事実無根」と断定した市教委は9日午後、市議会に報告する異例の措置を取る。同じようなうわさは近年、他県でも広がっており、識者らは背景には長崎市の幼児誘拐殺人事件の影響やインターネットが情報を飛び火させる構図があるとしている。
市教委などによると、うわさは10月中旬ごろから広がり始めた。特定の学校名や生徒名、スーパーの店名も出ており、市議や周辺市町村の教育関係者から照会が殺到。店側も「客にいくら否定しても信じてもらえない」(店長)状況になり、深夜の客足が落ちた。幼稚園児のいる母親(30)は「勤務先で友人からも聞いたため信じ込んでいた。子供たちにそばを離れないように注意してきた」と話す。
市教委は、学校に事情を聴いたうえ、警察署や消防署など関係機関も当たって調べたが、事実は確認できず、「インターネット上の掲示板で酷似したうわさが多数あり、ネットを起点に保護者らの間で一気に広まったのでは」と結論づけた。
同じうわさは今春に広島市、夏に金沢市でも発生。広島県警は調査して事実無根と断定した。県警の梶原恒志・減らそう犯罪情報官は「風評で住民の不安が高まり、『警察はなぜ調べない』との不満が出た。調査して、携帯メールでの情報交換が、子供と保護者の双方のルートで繰り返されたことが分かった」と話す。
成城大文芸学部の川上善郎教授(社会心理学)によると、今回のような都市部で流行する怪談話に似たうわさは、農村部の伝承になぞらえ『都市伝説』と呼ばれており、多くの人が抱く不安を反映しているのが特徴。川上教授は「都市型ショッピングセンターは、多くの親が子供がはぐれた経験があるうえ、長崎の事件などがあったため信じられやすいのだろう」と分析している。【藤野智成】
[毎日新聞12月9日] ( 2003-12-09-15:00 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20031209k0000e040075000c.html