2003年12月07日(日) 03時10分
<カドミウム>汚染米国際基準案 厚労省「引き下げ」要求へ(毎日新聞)
食品の国際規格を決める国際機関「コーデックス委員会」がコメに含まれるカドミウムの残留基準を「0.2ppm(1キロ当たり0.2ミリグラム)以下」とする案を示している問題で、厚生労働省は同委員会に「0.4ppm以下」に緩和するよう求める修正案を提出する方針を固めた。同省は「修正案でも国民の健康は十分保護され、必要以上の厳格な基準は過剰規制になる」との考えで、9日に開く薬事・食品衛生審議会食品規格部会の審議を経て、正式決定する。
カドミウムは体内に蓄積されると、健康被害を起こすと指摘されており、国内では食品衛生法に基づくコメの残留基準を1.0ppm未満と設定している。しかし、農水省は0.4ppm以上のコメを「準汚染米」として農家から買い上げており、流通は事実上規制されている。コメ以外の基準は設定されていない。
一方、食品中のカドミウムの国際基準作りを進めているコーデックス委員会は低濃度のカドミウムの影響を重視し、コメの残留基準を0.2ppm以下とする提案をした。このほか、大豆などの穀類や野菜、水産物などの基準案も示しており、関係国に今月15日までに意見を出すよう求めている。
厚労省は同委員会の基準案を適用した場合、日本人が摂取するカドミウム量を試算した上で、コメなど一部の品目については過剰規制につながると判断。修正案としてコメを0.2ppmから0.4ppm以下、大豆を0.2ppmから0.5ppm以下に引き下げる一方、同委員会が基準を設定していないトマトを0・05ppm以下とすることなどを求める方針だ。
コーデックス委員会は今後、各国から寄せられた修正案などをさらに検討し、早ければ来年6月にも国際基準を設定する見通し。厚労省はコメの国内基準を現行の1.0ppmから0.4ppm以下程度に引き上げるほか、別の食品についても基準を設ける方針で検討を進めている。コーデックス基準に強制力はないが、同基準と国内基準が異なった場合は「設定の根拠を十分に検討した上で、必要であれば国内基準を見直したい」(食品安全部基準審査課)としている。【須山勉】
◇カドミウムとは 自然界に存在する重金属で、ほとんどの食品に含まれている。特に火山地域や鉱山に多く存在し、日本人が食事から取るカドミウムの量は近隣諸国の2〜3倍で、先進国でも最高レベル。体内に蓄積されると、腎臓などに障害を起こすと指摘されている。イタイイタイ病の原因として知られるが、通常の食品や水に含まれる低濃度のカドミウムを摂取しても、同病を発症することはない。
■カドミウム基準値のコーデックス案と厚労省の修正案※主な品目のみ。単位はppm。( )内は日本で適用した場合の違反率
品目 コーデックス案 厚労省案
コ メ 0.2(3.3%) 0.4(0.3%)
大 豆 0.2(16.7%) 0.5(0.6%)
サトイモ 0.1(11.0%) 0.3(0.5%)
ニンニク 0.05(29.5%) 0.2(0%)
オクラ 0.05(25.0%) 0.2(0.7%)
トマト 設定せず 0.05(0%)(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031207-00000112-mai-soci