2003年12月06日(土) 16時31分
「紅白」裏は格闘技だらけ 大みそか 視聴率争奪戦は過熱?(京都新聞)
NHK紅白歌合戦が圧倒的な人気を誇る大みそか夜のテレビは、残った“パイ”を奪い合う民放各局の視聴率争奪戦も過熱気味。今年はTBSとフジテレビ、日本テレビの各系列が、同時間帯に格闘技中継をラインアップ。汗くさい男たちの鉢合わせに、関係者からも「ファンはいいけれど」と戸惑う声が出ている。
▽老舗の意地
そもそも大みそかに格闘技中継を始めたのは、TBS系だった。
アントニオ猪木氏がプロデュースし、柔道や空手、レスリング、ボクシングの選手が入り乱れる総合格闘技大会「イノキボンバイエ」を一昨年、昨年と連続で放送。若年層の心をつかみ、“紅白裏”の民放では飛び抜けた視聴率を記録した。
今年は午後9時から「K−1プレミアム2003」を中継。目玉は大相撲から転身した元横綱曙太郎選手の格闘技デビュー戦で、相手はバラエティー番組でも人気のボブ・サップ選手。話題性は十分で「老舗の意地にかけて頑張る」と井上弘TBS社長も力が入る。
そんなTBS系に代わって「イノキボンバイエ」の放送権を握ったのが日テレ系だ。
今年の大会は、クロアチアの国会議員になったミルコ・クロコップ選手が参戦し、午後8時から3時間を超える中継を予定。「紅白をぶっ飛ばせ!」と“愛の張り手”を連発する猪木氏のカリスマ性への期待も熱い。
フジ系は午後6時半から「PRIDEスペシャル男祭り2003」。元柔道世界王者の吉田秀彦選手が、昨年の格闘技デビュー戦で破ったブラジルの柔術家ホイス・グレーシー選手と再戦。5時間の長丁場で勝負する。
▽珍事にぼやきも
こんな似たもの対決の背景には、巨額のマネーが絡む興行と放送の主導権争いも見え隠れする。結果として視聴者の分散も懸念され、村上光一フジ社長は「来年は(各局で)もっと話し合ったらどうか」とポロリ。萩原敏雄日テレ副社長も「ファンでない人は紅白に行っちゃう」とぼやく。
これに対し、NHK芸能番組部は「紅白歌合戦を待っている大勢の視聴者に対し、責任と義務をどう果たすかが大切。他局が何かは問題でない」とバッサリ。超常現象に迫るバラエティーを放送するテレビ朝日系も「恒例で実績ある番組を編成した」(テレ朝編成部)と独自性を強調した。
日本とアジアの奇術師が競うバラエティーを放送するテレビ東京系は「他局が格闘技に偏れば、個性が売り物のうちが有利」(菅谷定彦テレ東社長)と話している。(共同通信) (京都新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031206-00000045-kyt-kin