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2003年12月04日(木) 00時00分

「1円」足銀株を使った節税“裏ワザ”が横行中利益出ている口座で売却し損失計上ZAKZAK


足銀株は1円になっても、節税対策の裏ワザになる!? 打ち出の小づち? 足利銀行の破綻(はたん)に伴い、持ち株会社のあしぎんフィナンシャルグループ(FG)株は、3日午前の東京株式市場で1円まで下げた。実質国有化後も株券が生き残ったりそなホールディングスの連想から、バクチ感覚で値下がり局面を買った投資家は泣きを見た。一方で、たとえ1円でも、1年間の売買利益にかかる税金を帳消しにする「裏ワザ」もあり、紙クズ同然の株をせっせと買い集める投資家もいる。

 【格上げで誤解】

 足利銀の破綻懸念が強まる11月17日、米格付け機関のムーディーズが格付けを「引き上げ方向で見直す」と発表した。

 ムーディーズは平成9年の山一証券廃業劇で引導を渡した有力情報機関。市場に「格付機関は銀行存続につながる極秘情報を握っている」との憶測が広がり、大量買いに走る投資家が増えた。

 5月のりそな処理では、株主責任なしで公的資金投入が決まると、株価は5カ月間で4倍高に大化けしたが、「2匹目のドジョウはいない」(金融アナリスト)。

 ムーディーズの格上げ検討は、「預金格付け」が対象。判断したのは、預金がちゃんと保護される可能性であり、破綻で一時国有化された足利銀の存続ではなかった。

 【株課税ゼロのウラ技】

 「脱税? 人聞きの悪い。節税ですよ、節税」。こう念を押すのは大手証券の営業マン。

 ボロ株で納税額を圧縮できるのは、今年始まった新証券税制で、取得価格不明の株券の買値を「平成13年10月1日の8割」にする特例措置のおかげなのである。

 先の営業マンによると、具体的には、次の巧妙なステップを踏む。

 「ある証券会社で1円で買い、利益の出ている口座に移し替え、すぐ1円で売却する。その際、買値は不明として申告するのがポイント」

 「あしぎんFGの前身である足利銀行株は13年10月に120円だったので、税制上は一律96円で購入したとみなされるんです。96円で買った株を1円で売ったことになり、売却損は1株95円」

 「10万円で10万株を買って、すぐに売り飛ばすだけで、950万円分も損失計上できます。ほとんどの投資家の利益はこれで相殺され、納税額ゼロですね」

 今年の東京株式市場では、日経平均が7000円台の安値から、最大45%も値上がりした。

 妻名義の口座の利益が数百万円に膨らみ、扶養対象や配偶者控除から外れるのを心配するサラリーマンも珍しくない。

 そんななか、こうした「裏ワザ」も静かに広まっているという。

 「1円株の売買でも、手数料はちゃんと頂きます」(先の営業マン)というから、こうした「節税」相談を持ち掛けられる証券マンにも、悪い話ではないようで。

ZAKZAK 2003/12/04

http://www.zakzak.co.jp/society/top/t-2003_12/1t2003120418.html