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消費者金融最大手「武富士」元社員によるフリーライター盗聴事件は、ついに武井保雄同社会長の逮捕にまで発展した。
同社は東京証券取引所第一部上場企業であり、三月期の連結ベースの最終利益は九百五十一億円と好業績を記録した。日本経団連の会員企業でもある。
そのトップが、同社に批判的な記事を書くジャーナリストへの盗聴を指示したということで逮捕されたのだから、衝撃は大きい。
消費者金融業界は一九七〇年代から八〇年代にかけて、高金利による過剰融資や、強引な取り立てで社会問題化し、イメージを悪化させた。
九〇年代に入って、大手銀行が不良債権の重荷で業績を悪化させる一方、消費者金融大手各社は業績を伸ばし、次々と東証に上場を果たした。昨年十一月には「株式上場などで社会的認知度が高まった」として、同社など大手三社が日本経団連への加盟を認められたのである。
しかし、企業の実態は、以前とあまり変わらないとの指摘もある。
年利20%前後の高金利で、社員にノルマを課し、長時間労働を強制して過剰融資させる。取り立ても、暴力的なものではないとしても、相変わらず強引で過酷だという。
消費者金融の利用者が多重債務者となり、返済に困って、さらに高利のヤミ金融に手を出し、その被害者となるケースが多いという。
高収益を上げる「一流企業」の裏の顔は、決してきれいなものではなかったはずだ。
同社には、警視庁幹部による顧客の犯歴データ横流しなどの不明朗な事例が後を絶たない。暴力団などとのつき合いも指摘される。メディアに企業の実態を知られることを恐れていたのは、そのために違いない。
警視庁は盗聴事件の動機、同社内の指揮・命令系統などをまず徹底的に洗い出す必要がある。そのうえで、これを突破口に武富士の闇の部分を明るみに出してほしい。
また、日本経団連は捜査の進展を待って、同社を除名すべきだろう。そうしなければ、日本経団連そのものの「品格」が問われる。
同社はこれを機に自浄作用を発揮して、武井会長のワンマン体質から脱皮し、企業体質を改めるべきだ。「顧客第一主義」という経営理念を看板だけにしてはいけない。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20031204/col_____sha_____002.shtml