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【取立不能・遅延】
約2兆円のりそなのように、公的資金が注入されると、処理されるのは銀行系列の親密な融資先企業だけではない。
一般の取引先企業も処理対象となり、そごう百貨店などの破綻時のように、この一般取引先と取引のある企業や下請け、孫請けも経営悪化や連鎖倒産の憂き目に遭う。
融資先が民事再生法など法的処理を申請すると、銀行側は「債権の取立不能及び取立遅延の恐れの発生」を公表する。
りそなホールディングス(HD)が4月から「取立不能・遅延の恐れあり」として公表した融資先企業と債権総額は、福助やダイア建設、森本組、マツヤデンキなど26社、3401億円に達する。
【りそなの次】
株価回復で経営体力に余裕ができ、ナリを潜めていた「りそなの次」探し。その雰囲気に変化が生じ始めたのは、今年9月ごろだった。
「足利銀行に、9月上旬から金融庁の検査が入っている。公的資金を再注入し、実質国有化するつもりだ。検査の結果、債務超過に陥っていることが判明すれば、破綻処理もありえる」
夕刊フジも取りつけ騒ぎを懸念して実名を伏し、公的資金注入の見通しが高まる「関東の有名地銀」として再三、足利銀行の経営不振を報じた。
【九州北部の銀行も】
一連の衝撃情報が金融界を駆け巡った。11月に入って、銀行の決算発表が近づくにつれ、情報はさらに交錯した。
「九州北部の銀行のほうが足銀よりも先(に公的資金再注入)かもしれない。内情があまりにもヒドくて金融庁もサジを投げ、最終判断を官邸に委ねてしまった」
ここにきて、公的資金の再注入候補が次々と浮上しているのだ。
【健全行に再生】
公的資金再注入はイコール、「そのカネで不良債権処理を一気に進め、健全行に生まれ変わりなさいということ」(大手銀幹部)である。
今春、約2兆円の公的資金を受けたりそな。9月中間決算で前向きに不良債権処理を進め、約1兆7000億円もの巨額最終赤字を計上した。
【処理加速】
りそなはまず、「親密企業」と称する親密な関係にある不動産会社やリース会社などを処理した。
りそな銀の親密取引先は今年3月末現在、計67社あり、融資総額は約8000億円に上る。
9月中間決算でこれら親密企業をすべて清算・売却、その損失は約4000億円に達する。
りそなHDが「取立不能・遅延の恐れあり」とした26社リストをみると、実に月約4社のペースで融資先企業が法的処理に移行している。
「他行と比べても異常に多い。それほど不良債権処理を急いだ」(金融アナリスト)
【マツヤデンキのケース】
このうち、大証1部上場の大手家電量販店、マツヤデンキ(大阪市)の処理はみずほ主導で行われたが、りそなも深くかかわった。
同社は9月25日、子会社とともに負債額約722億円を抱えて民事再生法を申し立てたが、翌26日には産業再生機構が支援を決定するという手回しのよさだった。
りそな銀はマツヤデンキについて再生機構と再建策を協議したが、権利関係が複雑に入り組んでいることから、再建を円滑に進めるには民事再生法を申し立て、債権・債務関係を断ち切った上で再生機構の支援を取り付けるという2段階方式の処理方式をとった。
りそなHDの発表によると、傘下銀行のマツヤデンキに対する債権はりそな銀192億円、近畿大阪銀行179億円の計371億円にのぼる。
【大阪の火薬庫】
26社リストをみると、『大阪の火薬庫』といわれる第3セクター(3セク)も含まれている。
大阪府出資のアジア太平洋トレードセンター、大阪ワールドトレードセンタービルディング、湊町開発センターの大型不振3セクは、借金棒引きを求める特定調停法を申し立てたが、りそなグループの債権は計223億円。大半は日本政策投資銀行からの借り入れ。
「りそなグループの問題貸出先は、旧大和銀以外に、旧あさひ銀行や近畿大阪銀にも多い。これらは、RCC(整理回収機構)に移されたり、産業再生機構を活用しての処理に移行することになる可能性が高い」(りそなHD関係者)
【切り捨ても加速】
金融アナリストは「りそなの新経営陣は不良債権処理を進めたいのだ」と前置きして言う。
「その結果、赤字が膨らんでも、それは旧経営陣の責任。今後のリスク要因を軽減するには、可能な限り不良債権を処理したい。問題貸出先がドンドン切り捨てられていくのは確実だ」
【連鎖倒産も】
たまらないのは、りそなの融資先企業と取引している企業である。
「りそなは親密先かどうかは別に、融資先をツブして出た損失を公的資金で処理すればいい。でも、そごうのように、融資先に商品などを納入する取引企業はモロに取りはぐれ、連鎖倒産する可能性がある」(メーカー財務担当)
【地銀の影響】
足利銀を口火に今後、公的資金が注入される銀行でも融資先と取引先の連鎖倒産を招く。
「公的資金注入の目的が不良債権処理加速による健全銀行への転換である以上、りそなと同じ状況が起きる可能性が高い」(大手銀幹部)
またぞろ、倒産ラッシュが勃発(ぼっぱつ)しそうな雲行きである。
ZAKZAK 2003/12/03
http://www.zakzak.co.jp/society/top/t-2003_12/1t2003120322.html