2003年12月03日(水) 20時04分
盗難通帳訴訟で中央労金に全額支払い命令・東京地裁(日経新聞)
盗難通帳で預金を引き出されたのは窓口担当者らの不注意が原因だとして、千葉市の男性(61)が中央労働金庫(東京)に430万円の払い戻しを求めた訴訟の判決が3日、東京地裁であった。小島浩裁判長は「担当者が本人確認の注意義務を尽くしたとは認められない」として、中央労金に全額の支払いを命じた。
小島裁判長は「印影をスキャナーなどで簡単に複写できるようになり、盗難通帳による払い戻しも多発。印影による本人確認の前提が成り立たなくなっていた」と、預金が引き出された1999年当時の社会状況に言及。届け出印と払戻請求書の印影の違いや窓口に来た男の不審点を指摘し、「担当者には、より慎重に本人確認を行う義務があった」と結論付けた。
判決によると、男性は99年11月に自宅のタンスの上に置いていた通帳がなくなっているのに気付き、千葉県労働金庫(当時)に確認したところ、前月に何者かによってほぼ全額が引き出されていた。
男性側の弁護団は「印影のみの本人確認では不十分だと認めたことは画期的」と判決を評価している。(20:04)
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20031203AT1G0302E03122003.html