悪のニュース記事

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2003年12月03日(水) 00時00分

盗聴は、昔から人間の欲望をそそるものだったのかもしれない。… 東京新聞


 盗聴は、昔から人間の欲望をそそるものだったのかもしれない。裏返せば壁に耳あり障子に目あり。石壁の西洋となると壁や障子ではなくて、野に目あり垣根に耳あり。今は電波を盗むらしい▼消費者金融の大手「武富士」の元社員らがフリージャーナリストらに盗聴を仕掛けたとされる事件は、武富士会長の逮捕(電気通信事業法違反容疑)に発展した。会長は否認している。警視庁は約百五十時間、七十本余の録音テープを会長室などから押収、会長が聞いていたとみている▼盗聴のおそろしさは、ものを盗むのと違って盗聴そのもののとりこになってしまうことではないか。武富士事件とは質を異にするが、米国のFBI長官を長くつとめたフーバーは政治家たちにも盗聴網を張り巡らした。どんな醜聞でも知っているらしい。だから大統領より偉いとまでささやかれた▼ニクソン元大統領の場合は自業自得なのかもしれない。ホワイトハウスのあるじとなって、偉大な業績と正確な自伝のため、執務室などにいくつも録音マイクを仕掛けた。ところが選挙の敵陣営を盗聴したウォーターゲート事件が発覚し辞任する。盗聴をもみ消せという声が録音機に入っていた▼日本では公安警察による共産党幹部宅盗聴事件があった。権力はつねに聞きたがり、憲法は「通信の秘密はこれを侵してはならない」という。民間対民間でも盗聴は住居侵入と何ら変わらない。汚らしい土足が足跡を残さないだけだ▼盗聴は人を悪へと魅惑してやまない。自分の憶病さも見えないゲームだからだろう。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20031203/col_____hissen__000.shtml