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豊胸手術を受けた際、ずさんな全身麻酔で低酸素脳症に陥り植物状態になったとして、埼玉県内の20代の女性と元夫が、美容外科医院の医師に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は28日、ほぼ請求通り1億7051万円の支払いを命じる判決を言い渡した。前田順司裁判長は、医療ミスの責任追及を逃れるため、医師がカルテなどを捏造(ねつぞう)し、救急搬送先の病院での適切な治療を妨げたと指摘。「医師にあるまじき悪質な行為に終始し、責任は極めて重い」と非難した。
賠償を命じられたのは東京都渋谷区神宮前の「アクアクリニック東京本院」を経営する布施信彦医師。同医院は、雑誌の広告などで「高度の麻酔技術で針を刺す痛みすら感じず、手術後も痛みがない」などと宣伝していた。
判決によると、女性は01年4月、代金126万円で豊胸手術を受けた。麻酔医や看護師は立ち会わず、布施医師は手術の危険をまったく説明しないまま、1人で麻酔と手術をした。手術後、意識が戻らず、震えや体の硬直が起こり、救急車で大学病院に運ばれたが植物状態のまま回復の見込みがないという。
裁判では、手術開始—終了—救急車要請の時刻が、布施医師作成のカルテと大学病院の記録とで全く食い違うことが明らかになった。
前田裁判長は(1)証拠保全手続きで裁判官が医院に足を運びカルテなどの提示を求めたのに「自宅にある」などと拒んだ(2)後日提出したカルテは英語表記や略語がなく、不自然と指摘。「手術を終えて29分後には救急車を呼んだとするカルテは責任逃れのための捏造で、実際は2時間41分の間、適切な治療などの措置を取らずに放置し、麻酔管理に過失があった」と結論づけた。(11/28 21:48)