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あしぎんは、金融庁が15年3月期を対象に9月上旬から実施した緊急検査で不良債権の大幅積み増しや、将来の税還付を見込んで自己資本に算入する繰り延べ税金資産の取り崩しを迫られた。
その結果、過小資本で債務超過に陥った。3月の期末決算で4.54%とした自己資本比率が1%近くマイナスとなり、国内業務に最低必要な「4%」を割り込んだ。
金融庁の検査内容にあしぎんグループは異議を申し立てたが、同庁はこれを却下、若干の債務超過との判断を下した。
竹中平蔵金融・経財相 政府は近く金融危機対応会議を開き、預金保険法に基づき、公的資金を注入することになる。
今後の焦点は注入方法で、旧長銀(現新生銀行)や旧日債銀(現あおぞら銀行)のように一時国有化となれば、1兆円規模の資金が必要。日本銀行も特別融資などで支え、金融危機を防止することになる。
預金は全額保護されるものの、預金保険機構が全株式を取得したうえで受け皿銀行を探すため、株式はゼロ円となり、株主責任が問われる。
一方、今年5月に実質国有化となったりそな銀行のように、資産超過の銀行を対象とする方式での注入となれば、株主責任は問われない。政府がどちらの方式を選ぶかは流動的だ。
あしぎんは現在、子会社の足利銀行が14年3月期に過去に投入した公的資金の優先株が無配となり、国の議決権が発生。15年3月期連結決算では666億円の最終赤字となり、財務体質が一段と悪化。7月には金融庁から収益改善を求める業務改善命令を受けた。
そのため、16年度に600億円の増資を行い、19年3月期には自己資本比率が6.69%に引き上げる計画を立てていたが、金融庁は「栃木経済は疲弊しており、増資の引き受け先を見つけるのは困難」(幹部)と実現性に疑問を抱いていた。
くしくも27日までに出そろった大手地銀・第2地銀上位10行の15年9月中間決算では、横浜、千葉、静岡など全10行が最終黒字を見込んだ。
そんななか、足銀の債務超過は、地方経済と密接につながる有力地銀の危険性を物語る。
大手民間信用調査機関の幹部は「足銀の取引先には老舗旅館などが多く、不況下での経営難から、新規の不良債権が次々と発生していた」と説明する。
地下下落の資産デフレも深刻で、若干の株高ぐらいでは体力的にもたなかったという。
竹中平蔵金融・経財相が推進する金融庁の新制度案では、地域金融強化をうたい、オーバーバンク状態の地銀再編をうながす内容が盛り込まれているが、足銀のケースを契機に今後、大手・地銀を巻き込んだ不振な金融機関の整理が一層加速するのは避けられない。
【足利銀行】
明治28年、栃木県足利市で創業し、昭和42年に本店を宇都宮市に移転した。県内で貸出47%、預金29%のシェアを持つ最大の金融機関。昭和40年ごろから朝鮮外国貿易銀行と為替取引契約を結び、当時の国内邦銀として唯一、北朝鮮へ送金業務を行っていたが、平成14年4月に停止。今年3月に金融持ち株会社「あしぎんフィナンシャルグループ」を設立した。銀行の従業員は約2900人、総資産は約5兆2000億円。預金量は4兆9000億円で地銀10位。
ZAKZAK 2003/11/28