2003年11月28日(金) 03時08分
<農産品ブランド>「松阪牛」など産地名保護へ 農水省検討(毎日新聞)
農林水産省は、産地名や製法の独自性が商品のブランドとして確立している「松阪牛」「稲庭うどん」のような農産物・農産加工品を知的財産として保護し、他者による名称使用などを禁止する「地理的表示保護制度」を創設する検討に入った。保護強化で産地のブランド戦略を後押しするとともに、厳格な表示を求める消費者ニーズへの対応を目指す。
松阪牛などのブランド産地では生産者団体などが原材料や製法、生産資格などのルールを定めて高品質を維持している。しかし、こうしたルールはあくまで産地などの自主的な取り組みのため、現在の法制度では、ブランドを保護する明確な規定はない。
例えば、ルールに合わない「松阪牛」でも、生産地が松阪市周辺なら明らかに品質が劣った商品でない場合や、他産地の商品でも産地表示をあいまいにしてウソまでは記載していない場合、JAS(日本農林規格)法や不正競争防止法の明確な罰則対象にならない。このため、早ければ05年の新法制定も視野に、ルールに沿わない商品を規制することを検討する。
既にワインと蒸留酒の地理的表示保護は世界貿易機関(WTO)協定で導入され、「シャンパン」「スコッチ」などは使用できない。欧州連合は独自に92年からハムやチーズで「パルマ」「モッツァレラ」などの域内流通を禁止。WTO新多角的貿易交渉(新ラウンド)で国際協定への格上げを求めているが、米国などは反対している。
日本も既にこうした名称を使用している国内食品メーカーへの影響が懸念されるとして、賛否を明確にしていない。このため、制度の導入はWTO交渉とは別に国内農産物・農産加工品を主対象とする方針だ。【上田宏明】(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031128-00000144-mai-bus_all