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2003年11月25日(火) 00時00分

放射線過剰照射260例対象 詳細検査へ朝日新聞・

国立弘前病院 「技師のミス」撤回

 弘前市の国立弘前病院(伊藤文也院長)の放射線過剰照射事故で、専門家による「放射線過照射事故による健康影響に関する調査委員会」が24日、同病院で開かれ、260例を対象に詳細な健康検査を行うことを決めた。また、事故原因をめぐって病院側は「技師の計算ミス」とするこれまでの主張を撤回、医師の指示が不十分だったとする過剰照射事故調査団の指摘を認めた。放射線関係学会は近く、医師と技師で放射線量評価が分かれないよう緊急勧告を出す。

 調査委は、過剰照射を受けた患者の健康への影響を調べる目的で10月上旬に設置された。県内外の放射線の専門家や弁護士ら10人の委員で構成。伊藤院長が委員長を務めていたが、設置要項を改正し、古賀佑彦・藤田保健衛生大名誉教授を委員長とし、厚生労働省東北厚生局長の私的諮問機関とすることにした。

 調査委には、今月初旬に立ち入り調査をした事故調査団の早渕尚文団長(久留米大医学部教授)も同席。終了後に伊藤院長、古賀委員長、早渕団長が記者会見した。

 病院側が発表した過剰照射を受けたとされる317人の患者のうち、健康調査票が返送されてきたのは268人分(生存95人、死亡173人)。残りも電話連絡がついている人が多く、全く所在がつかめないのは7人という。

 古賀委員長らの説明によると、詳細な健康検査の対象は総線量が40グレイ以上の放射線治療を受けた患者で、他の医療機関の協力も得ながら、患者の問診と触診、血清検査、部位ごとのMRI(磁気共鳴断層撮影)検査などを行う。

 260例ほどが対象となるが、過剰照射が始まった88年までさかのぼると、元々病んでいたがんなどで亡くなっている人も多く、実数は半数以下とみられる。副作用が疑われる患者は現在29人いて、すでに診察を受けているという。

 40グレイの根拠について古賀委員長は「(総線量が)60グレイまで行けば何か(副作用が)起きる。どこで線を引くかは難しいが、通常1日2グレイの照射で40グレイなら重大な障害は起こりえないと考えられる。ただ、今回は1日で2・5グレイの照射もあり、普通では起こりえない影響も考え、40に線を引いた」と述べた。

 また、事故調査団と病院との間で見解の相違があった事故原因に関して伊藤院長は、技師が計算式を間違えて線量を算出していたとするこれまでの見解を訂正した。事故調査団は、2通りの放射線量の計算方法がある中で、「医師の指示が不十分」で技師は違った方法を採用し、お互いに意思の疎通に欠けていたため、長期間にわたって気づかなかった、と指摘。病院側もこれを認めた。

 こうした、医師と技師の間で放射線量評価に違いがある現状を重くみた日本医学放射線学会や日本放射線腫瘍(しゅよう)学会など関係4学会で組織する物理連絡協議会は近く、全国約7百の放射線治療施設に緊急勧告で注意を促し、計算方法などについてアンケートを行うことにした。

(11/25)

http://mytown.asahi.com/aomori/news02.asp?kiji=5537