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視聴率調査の対象世帯を割り出したり、ジャーナリスト宅を盗聴したり、このところ事件の陰に探偵の姿がのぞく。浮気調査がほとんどだった時代は去り、いまや興信所にはありとあらゆる依頼が持ち込まれる。「ヤバイ仕事」も増えてきた。
「別人になりすますので、新たな戸籍を取ってほしい」「有名私大の卒業生になりたい。名前の入った卒業証書を作ってもらえないか」。探偵13人を抱える埼玉県内の興信所には、そんな依頼が舞い込む。
かつては「夫や妻の浮気相手を知りたい」という依頼が圧倒的に多かった。同じ浮気調査でも、ここ数年は「愛人と別れさせるところまでやってほしい」と踏み込んだ依頼が増えている。
「ひと昔前までは浮気調査に明け暮れた。今は金がらみの調査が主流」と東京都内の探偵(38)は言う。「この人物に借金がないか調べて」「出会い系サイトで知り合った男性にお金をだまし取られた」「オレオレ詐欺に引っかかった」。その種の相談が引きも切らない。
都内の興信所の場合、株主総会の季節になると、企業からの依頼が集中する。「総会の準備作業をする小部屋に盗聴器がしかけられていないか点検してもらえないか」。切羽詰まった声で「盗聴被害の疑いがある。今すぐわが社に探偵を寄越して」と夜の10時に要請されたこともある。
都内の興信所経営者は「テレビ局関係者から視聴率調査世帯を割り出すよう頼まれたことがある。もちろん断ったけど」と打ち明ける。
どの興信所も「違法な仕事は引き受けない」と強調する。とはいえ、危ない依頼をすべて断ったら探偵稼業は成り立たない。どこまで引き受けるか悩む日々だという。
どんな人が探偵になるのか。東京近郊の興信所に勤める探偵(44)は、10年前まで英語教材のセールスマンだった。友人に誘われてこの世界に入った。年収は同年代のサラリーマンの平均を少し上回る程度だが、不景気続きで、依頼人から「調査料を値下げして」と泣きつかれる。年収は3年前より4割下がった。
それでも、探偵志願者は減っていない。ある興信所の場合、月に3〜5人が就職面接に来る。かつては元自衛官ら腕に覚えのある男性ばかりだったが、このごろはごく普通のサラリーマンが門をたたくようになったという。
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01年末の警察庁の調べでは、全国の興信所数は4200社。近年、かなりのペースで増えている。国民生活センターによると、興信所に関する苦情も急増中。昨年は1301件。00年は844件、01年は974件だった。調査料をめぐるトラブルがもっぱらだ。
全国調査業協同組合によると、契約金をもらっておきながら実際には調査せず、依頼人が抗議すると、「調査期間が足りない。もっと払えば何とかしてやる」と開き直る悪質な業者もいるという。
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興信所の調査料の目安
(全国調査業協同組合の資料から)
素行調査 1日15万円〜
所在調査 1日15万円〜
家出人調査 1日10万円〜
盗聴器などの発見 10万円〜
人物調査(就職内定者) 3万円〜
同 (結婚相手) 30万円〜
同 (相手の家族) 30万円〜
信用調査(個人) 20万円〜
同 (法人) 10万円〜(11/22 11:47)