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日本テレビ放送網(本社・東京都港区)の安藤正臣プロデューサー(41)が視聴率を「買収」していた問題で、同社の「視聴率操作」調査委員会(委員長・江幡修三元検事総長、委員5人)は18日、同プロデューサーが番組制作費1007万円余を会社に水増し請求し、そのうち約875万円を工作資金に充てていた、などとする調査結果を明らかにした。
調査委員会の報告書によると、安藤プロデューサーは00年3月から03年7月にかけて、興信所を使って視聴率調査会社ビデオリサーチの調査対象世帯を割り出し、交渉役を派遣して、自分が制作した番組を見るよう依頼、視聴率の引き上げを図った。また、自らも電話で同様の依頼をした。
視聴を承諾した世帯には、商品券などの謝礼を贈った。視聴を頼んだ世帯は十数世帯で、承諾したのは6世帯。このうち実際の視聴率調査対象は3世帯で、委員会は「視聴率への影響は最大0.5%」とした。
工作費用は当初、安藤プロデューサーが320万円を自分で出したが、その後は番組の制作費を下請けのプロダクションに水増し請求させ、その一部を自分に戻させるなどの方法で作った。水増し請求などは計14件で、1007万6585円。
こうして工面した資金の中から、工作費用に875万2584円を使用。415万円が本人の手元に残った。「工作をさらに続けるための資金にしようと思った」と話しているという。
動機について委員会は「視聴率獲得を重視する会社の方針を都合のいいように取り違え、何をやってもよいとの独断で、自己の評価を高めるために行った」とした。
また、「当該プロデューサー以外の関与はなかった」と結論づけた。
報告書では「日本テレビへの提言」の項目を設け、「視聴率を唯一の基準としているテレビ業界の不完全な現実を、当然のものとして受け入れていた」「制作現場の資金管理を厳格にすることは困難という悪(あ)しき常識を安易に肯定した」などと指摘、企業体質の改善を求めた。
調査委員会の報告に続いて開かれた日テレの会見で、役員3人の降格、8人の役員報酬返上、6人の懲戒が発表されたが、これについて氏家会長は「今回の事態に対し取締役は道義的責任はあるが、管理者としての注意義務違反にはならない」と述べた。
また萩原社長は、取締役会の諮問機関として、放送に詳しい識者8人による「新しい番組評価基準を考える会」を設けることを明らかにした。
日テレは今回の調査委員会の報告書を同社のホームページに掲載している。
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【調査報告の骨子】
不正の時期:00年3月〜03年7月
関与者:延べ9社15人(実数8社12人)
(1)本人
(2)調査会社 2社3人
(3)制作会社など 7社7人
(4)交渉役 4人
視聴依頼世帯:十数世帯
視聴承諾世帯:6世帯
視聴率への影響:1番組につき、最大3世帯(全時間視聴の場合、最大0.5%増)、最小0世帯(0%)
視聴対象番組:13番組(日本テレビ7番組、他局6番組)(11/18 20:32)