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ハンセン病国家賠償訴訟で「らい予防法」が違憲とされてから2年。国立ハンセン病療養所「菊池恵楓(けいふう)園」(熊本県合志町)の入所者ら22人の宿泊を同県南小国町・黒川温泉のホテルが拒否した問題は、今もなおハンセン病への偏見と差別が根強いことを浮き彫りにした。事実が明らかになった18日午後、ホテルなどには数十件を超す抗議の電話やファクスが殺到した。
宿泊を拒否した「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」を経営する「アイスター」(東京都)は、ホームページなどによると不動産などの管理、賃貸借や情報処理の請け負いなどを行う会社。ホテルの前田篤子・総支配人は今回の事態について「感染の可能性が100%ないとは思わなかった。宿泊客すべてが理解している人ではない。(宿泊拒否は)他の客の迷惑になると判断した」と話す。その上で「ハンセン病患者を国が長年隔離してきたのは間違っていたと謝罪もしたが、それは国と当事者の問題。国が謝罪したといって、国民が100%受け入れているかと言えば疑問だ」と語った。
同ホテルには数十件の抗議が相次ぎ、従業員らが対応に追われた。前田総支配人は「匿名の一方的な抗議が多かったが、中には『あなたたちの判断は正しい』という励ましの電話も数件いただいた」という。
一方、同ホテルが加盟する黒川温泉観光旅館協同組合にも、電話による抗議や問い合わせが約30件あった。「人権侵害。すぐに除名すべきだ」と組合に厳しい対応を求める声が大半だった。また「黒川温泉郷は好きでよく利用しているだけに残念。全体のイメージが下がることが心配」(東京の男性)と気遣う電話もあったという。
同組合は18日夜、緊急会議を開き、組合の信用を損ねる行為をしたとしてホテルの除名方針を決めた。定款に基づき、12月2日に総会を開いて弁明の機会を与える。
除名が決まると、組合に加盟する旅館・ホテルの複数の温泉が楽しめる「入湯手形」が同ホテルでは使えなくなる。また、組合が今後発行するパンフレットへの掲載を見合わせることになる。
小林茂喜組合長は「ホテルを説得したが、態度が変わらず、本当はしたくはないが除名もやむを得ない」と話している。【石川淳一、阿部周一】
[毎日新聞11月19日] ( 2003-11-19-00:48 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20031119k0000m040144001c.html