2003年11月18日(火) 00時00分

新幹線運転中写真メール （東京新聞）

　東海道新幹線の男性運転士（４２）が運転中、カメラ付き携帯電話で撮った写真やメールを、運転席から交際中の女性に送信していたことが分かった。写真やメールの送信は一日当たり最高で数十通に上り、一昨年から最近まで二年間にわたっていた。国土交通省中部運輸局は事実を確認の上、ＪＲ東海から安全運行に関する乗務員の管理や指導体制について事情を聴く方針。

　交通機関の乗務員が乗務中に携帯電話でメールを送信していた事例が発覚したのは、新幹線では初めて。

　この運転士はＪＲ東海の名古屋運輸所所属。関係者によると、二〇〇一年秋、東海地方在住の女性（４３）と知り合ったのをきっかけに、運転席からの写真やメールの送信を始めた。女性の夫が見つけ「安全運行上の管理がなっていない」などと、ＪＲ東海側に今月、通報した。

　写真は富士山や花火など沿線の風景のほか、運転する自分の姿や運転席の計器類、さらに見習いの運転士と同乗した際、指導する様子を写したものなど。中には今年九月十六日、東海道新幹線を「さよなら運転」した「１００系」列車を“すれ違いざま”に撮影した一枚もある。

　メールは「見習い、おれがなーんも言わなくても、上手に運転してるよ。はっきし言って、横で座ってるだけです」「今日で１００系新幹線電車の営業運転終わりなんだ。東京８：３０発ひかり３０９号がさよなら列車です。しっかし、マニアが凄（すご）いっす…（後略）」等々。

　この運転士は本紙の取材に対し「（運転席から写真やメールの送信を）何回かやったことはある」と認めた上で「現在はやっていない。今考えると、よくなかったと思う」と話している。

　ＪＲ東海は、乗務中の携帯電話の使用禁止を指導。六月に京福バス（福井市）の運転手が運転中に私的メールをやりとりしたとして解雇されたことなどを受け、「携帯電話の使用禁止」を運転士対象の社内掲示板で告知。運転管理者らが集まる場でも現場指導を徹底するよう通知していた。

　新幹線は一列車（十六両編成）に、運転士は通常一人が乗務するだけ。新幹線運転士の免許は国交相が交付する。

　国交省中部運輸局は「運転士の行為が直接、法律や省令違反に当たるかどうかははっきりしないが、運転士の基本姿勢には信号注視や緊急停止などの注意義務がある。事実なら大変遺憾」と話している。

　ＪＲ東海の話　新幹線の運転士は運転中、携帯電話の電源を切る決まりで、使用を禁止している。事実関係を調査の上、厳正に対処したい。

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20031118/mng_____sya_____007.shtml