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政府の司法制度改革推進本部は、裁判以外の紛争解決手段(ADR)をもっと利用しやすいものにしようと、「ADR基本法」の素案をまとめた。民間ADRを裁判所の調停に代わるものと位置づけるなど、紛争解決の多様化を図っている。17日の検討会で公表され、議論を経て、来年の通常国会に法案が提出される予定だ。
現在利用されているADRは、公害等調整委員会、国民生活センター、弁護士会仲裁センター、PL(製造物責任)センターの仲裁・調停・あっせんなどがある。
一方、土地や家賃に関する紛争や離婚、親族間の金の貸し借りなどのトラブルは、裁判に先立ち、裁判所による調停を行う「調停前置主義」が採られている。
素案では、これらの紛争も民間ADRで扱え、解決しなかった場合に裁判所の調停抜きですぐ訴訟手続きに入るようにする。ただ結婚、養子縁組の無効をめぐる紛争は、当事者間で合意しても家裁での審判を経ることが必要なので対象外。
このほか時効完成が近づいてADRによる交渉が制約されるのを避けるため、当事者双方でADR機関に申し立てれば、時効を最長1年猶予する内容も盛り込んだ。
しかし訴訟や調停のように申し立てで時効が中断することまでは認めなかった。またADRの結論に沿って強制執行できる執行力も当面与えない。この結果、「ADRを裁判と並ぶ魅力的な選択肢とする」とした司法制度改革審議会の意見書からは大きく後退することになった。(11/16 00:53)