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2003年11月15日(土) 14時34分

武富士事件、「きっかけは批判記事」元課長が供述読売新聞

 消費者金融大手「武富士」の元課長らによる電話盗聴事件で、電気通信事業法違反容疑で逮捕された同社元課長中川一博被告(42)が警視庁捜査2課の調べに対し、フリージャーナリスト宅を盗聴した理由について、「武富士に批判的な記事が雑誌に掲載され、(同社の)株価が下がったことが盗聴のきっかけだった」と供述していることが15日、分かった。

 中川被告は当時、社内外のトラブル処理を担当しており、捜査2課は、訴訟などで対抗するための情報収集が目的だったとみて追及している。

 関係者によると、盗聴されたフリージャーナリストは、2000年10月末、雑誌で、武富士が詐欺事件の被告との間で多額の金融取引をしていたとする問題を取り上げた。武富士の株価は当時、1万1000円前後で推移していたが、この雑誌が発売された後の同年11月22日には5650円にまで急落した。

 武富士は同月下旬、株価急落を受けた記者会見を開き、雑誌記事について「風説を基にした中傷だ」などと主張する一方、フリージャーナリストや出版社などを相手に訴訟を起こした。

 調べによると、中川被告は翌12月ごろ、重村和男容疑者(57)(電気通信事業法違反容疑で逮捕)が代表を務める横浜市のアーク横浜探偵局に盗聴を依頼。翌年2月ごろまで盗聴を続けた。捜査2課が入手した録音テープには、フリージャーナリストと雑誌編集者が武富士に関して情報交換している会話や、今後の掲載内容についてのやり取りなどが録音されており、フリージャーナリストは、捜査2課の調べに対し、実際に電話で話した内容であることを確認している。

         ◇

 武富士を巡る電話盗聴事件で、警視庁捜査2課は14日に行った武富士本社(東京都新宿区)の捜索で、11階にある会長室からも関係資料を押収していたことが分かった。中川被告は、自らの業務上横領事件の公判などで、「盗聴したテープは、会長室に届け、武井保雄会長に直接報告していた」と証言していることから、会長室も捜索対象になったと見られる。

 同課は15日も、武富士本社を捜索するとともに、同日午後にも逮捕した5人を東京地検に送検する。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031115-00000304-yom-soci