2003年11月15日(土) 15時14分
<武富士盗聴>「会長承認」の書類、役員に示し調査費決裁(毎日新聞)
消費者金融大手「武富士」(東京都新宿区)をめぐる盗聴事件で、盗聴を請け負った調査会社「アーク横浜探偵局」へ調査費用を支出する際、元総務部課長の中川一博容疑者(42)は武井保雄会長(73)が承認したことを示す書類を持って、役員に稟議(りんぎ)書に決裁印を押させていたことが分かった。警視庁捜査2課は、稟議書とこの書類のコピーを押収している。同課は15日も、引き続き武富士本社の家宅捜索を行い、これらの書類の原本の所在確認を急ぎ、支出の決定過程での上層部の関与について調べを進める。
調べでは、調査会社への支出を示す稟議書のコピーは複数あり、案件名には「企業調査費用」「人事調査費用」などと書かれていた。支払先はいずれもアーク横浜探偵局で、フリージャーナリストが盗聴された00年12月から01年2月と、その前後に決裁された稟議書だけで、支出総額は1000万円を超えていた。
いずれの稟議書のコピーにも経理部長や審査部長の決裁印が押されており、会長決裁欄に「武井」の印が押してあるものもあった。会長印がない場合、会長決裁欄の横に「別紙で会長承認済み」などと書かれていた。別紙には日付、金額が書かれ、「武井」の印が押されていた。
中川容疑者は逮捕前の毎日新聞の取材に、これらの稟議書が調査会社への盗聴を依頼したものだったと説明し、「この別紙は会長からもらったもの。支出が『会長案件』だということを示し、この別紙を持って役員を回れば、誰も何も言わずに印を押した」と説明していた。
これらのコピーは中川容疑者が武富士から持ち出した内部資料。武富士は「探偵社に企業調査や身上調査を依頼したことはある」と稟議書は実物のコピーであることを認めているが、「盗聴を依頼したものではない」と説明している。【立山清也、三木陽介】(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031115-00001059-mai-soci