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2003年11月07日(金) 00時00分

マニフェスト選挙の陰に隠れた大切な争点 憲法・教育・医療どこへ 東京新聞

 衆院選の投票まであと二日。全国各地で繰り広げられたマニフェスト(政権公約)論戦も最終局面を迎えている。そんな中、年金、高速道路といった注目度の高い政策の陰で、憲法、教育、医療の問題は、自民党と民主党の間では、ほとんど論争となっていない。有権者の関心が高く、選挙の結果次第ではすぐにでも政治日程に乗ってくる政策が、なぜ論争にならないのだろうか。 (政治部・マニフェスト取材班)

 ■憲法■

 「できれば、早く国会に出して議論した方がいい」

 小泉純一郎首相は選挙期間中のインタビューで、憲法改正手続きを定める国民投票法案を、来年の通常国会に提出するのに前向きな考えを示している。自民党は、マニフェストに「新憲法の草案をつくる」と明記しており、首相にすれば当然の発言だ。

 一方、民主党は「『論憲』から『創憲』へと発展」させることを盛り込んだが、自民党ほど憲法改正に情熱はない。

 自民党が選挙で圧勝すれば、改憲の流れは加速する。自民党が議席を大幅に減らし民主党が勝てばブレーキがかかる。構図は明白だ。憲法改正の是非が、大きな争点であることは疑いない。

 にもかかわらず、選挙戦で大して論争にならないのは、両党のマニフェストが、憲法はどうあるべきか、との中身にほとんど踏み込んでいない事情が大きい。これでは議論が深まる余地がない。

 自民党には、憲法改正に積極的でない公明党の支援を受けている候補者が多く、前面に出しにくい面があるのも確かだ。

 民主党も、もともと寄り合い所帯で各候補者の「憲法観」がばらばらで、党内の意見は固まっていない。さらに、政権交代が実現した際のパートナーと期待する社民党が、連立参加の条件に「憲法九条順守」を掲げていることが、民主党の歯切れを悪くしている。

 共産、社民両党が「改正反対」を叫んでも、憲法があまり自民、民主両党間で争点にならないのは、政策論争とは別次元の、選挙戦術、政局上の判断がはたらいているというわけだ。

 ■教育■

 「教育の憲法」といわれる教育基本法改正問題は、小泉政権が継続すれば、自民党が来年の通常国会に改正案を提出しようとする可能性が高い。議論なしでは済まされない問題だが、選挙戦ではこれまた、ほとんど争点になっていない。

 自民、保守新両党はマニフェストで「国を誇りに思う心」などが身に付くような教育の実現に向けた法改正を明記。共産、社民両党は改正反対を掲げる。

 しかし、民主、公明両党のマニフェストに「教育基本法」の文字はない。

 民主党にとって教育基本法改正は憲法改正と同じで、統一意見は出せない。

 また、公明党は、もともと教育基本法の改正には慎重。しかし、友党の自民、保守新両党が旗を振るこの問題に、異を唱えることを遠慮したようだ。

 もっとも、民主、公明両党は、マニフェストに数値、財源、期限入りの政策を多く盛り込み、教育問題でも民主党は「小学校の三十人学級を実現し、学校の週五日制を見直す」、公明党は「全中学校にスクールカウンセラー配置」など、具体的な政策を示している。しかし、具体的に示したり数値で表したりしにくい「教育の理念」の部分は抜け落ちてしまった側面もある。

 ■医療■

 野党三党は、四月に三割に引き上げられたサラリーマン本人の医療費の窓口負担を、二割に戻すと約束している。明確な対立軸だが、これもほとんど議論になっていない。

 一つには、野党側が、窓口負担引き下げに向けた現実的な財源まで示していないことが大きい。また、自民党も、医療費引き上げに対しては支持団体の医師会などの批判が根強く、この問題には触れたくない事情がある。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20031107/mng_____kakushin000.shtml