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2003年11月07日(金) 15時00分

オレオレ詐欺:ウソ見破った兵庫の主婦「じっくり聞くが肝要」毎日新聞


 息子や孫を装って「俺(おれ)」などと電話をかけ、交通事故を起こしたふりをして現金を振り込ませる「オレオレ詐欺」。警察庁によると、1〜9月に約2000件の被害が発生、被害額は計約15億円に上る。各地で被害が相次ぐ中、息子の実名まで使った若い男のウソを見破った兵庫県伊丹市の主婦が取材に応じ、「詳しく聞いているうち、だんだん変と気付いた」と話した。息子や孫からのあやしげな電話は「まずは、ゆっくり聞く」が肝要のよう——。【佐竹義浩】

 「ノリオです。分かる?」。主婦(56)宅の電話が鳴ったのは9月30日午後1時過ぎだった。長男(24)の「ノリオ」は今春、京都の大学を卒業して関東で就職している。「仕事中の時間のはずなのに、おかしいな」と主婦は思ったが、逆に「大変なことが起きたのかも」と緊張した。

 「事故った。オカマや。追突してん」。ノリオは言った。長男は免許は持っているが、車は持っていない。「車は?」と聞くと、「友だちから借りたんや。保険がきかん。修理代がいるねん」と頼み込んできた。

 「どれくらいいるの?」と尋ねると、「分からへん。(相手は)ベンツやねん」と返事。「どこで事故したの?」と詳しく聞く構えをみせると、男は「そんなん言うて分かるか?」と二度繰り返した。「分かるよ。言うてごらん」と畳みかけ、「京都の右京区」。これで、主婦は「息子じゃないわ」とピンと来たという。

 長男が京都に来るのであれば、その前に自宅へ何らかの連絡を入れるはず。おかしい。「ノリオじゃないわね!」。一瞬、間があいた。「あんた、どこのノリオ?」と詰問すると、「伊丹のノリオ」とだけ答え、しばらくして電話は切れた。

 その間の通話時間は約10分。男は終始、淡々と話していたという。「名乗ったし、こちらの言葉遣いだし、年ごろも息子と同じような感じ。最初は、こちらも動揺していたし、声の違いは分からず、信じていました」と主婦は振り返る。そして、相手が実名を知っていたことから、「何かの名簿を入手していたのでは」と指摘している。

 実はこの電話の約1時間後、同じ伊丹市内の無職の女性(81)にも「おれおれ。交通事故を起こしたから金を振り込んで」と電話があり、その女性はニセの孫に200万円をだまし取られる事件が発生していた。主婦は「私も本当に危なかった。最近、この手の被害が多いと聞くが、子や孫からの至急のSOSの電話は、詳しく聞いて、できるだけ長く話したほうがいい」とアドバイスしている。

[毎日新聞11月7日] ( 2003-11-07-15:00 )


http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20031107k0000e040073000c.html