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2003年11月07日(金) 15時54分

<衆院選>PKO派遣陸自400人投票不可能 帰国しなきゃダメ毎日新聞

 9日投開票の衆院選で国連平和維持活動(PKO)のため10月に東ティモールに派遣された陸上自衛隊員約400人の投票が、事実上、不可能なことが分かった。海上自衛隊員は公職選挙法で「船員」扱いとなるため、護衛艦や補給艦内で不在者投票が可能なのに対し、陸自隊員は帰国して住民票がある自治体に戻らなければ投票できない。今回選挙の争点でもあるイラク派遣を目前に控え、まさに派遣対象となる陸自の隊員が投票できない事態となっている。

 防衛庁や総務省によると、船員の不在者投票は1950年の公選法成立時から特例で認められている。海自は、幹部養成の遠洋航海やハワイ周辺での演習に国政選挙や地方選挙が重なった場合、艦長が不在者投票管理者となって艦内で不在者投票を実施している。

 現在、テロ対策特別措置法に基づきインド洋に派遣されている護衛艦や補給艦3隻の乗組員は計約660人。異動で赴任する幹部が有権者約640人分の投票用紙を持参し、交代で帰国する隊員に持ち帰ってもらう「人海戦術」で、1票の権利を行使する。

 これに対し、陸自隊員は不在者投票管理者が公選法で規定されておらず、休暇を取って9日までに日本に一時帰国しない限り投票はできない。00年5月、「3カ月以上の現地滞在」などを条件に海外の日本人有権者に衆・参比例代表への投票を認める在外投票制度ができ、01年参院選ではPKOでゴラン高原に派遣された隊員が初めて同制度を利用して現地で投票できた。しかし、今回は10月からの派遣で「3カ月以上」の条件を満たしていないため、投票権は発生しないという。

 防衛庁は、選挙権が行使できるよう総務省に相談しているが、「今の制度では難しいとの答えだった」という。同じ国の任務で海外に派遣されながら、「海」と「陸」で選挙権に差が出ることについて、海自のある幹部は「陸自が投票できないとは知らなかった」と驚き、陸自幹部は「法律で定めたことなので仕方がない」と話している。【平井桂月】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031107-00001068-mai-pol