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治安が悪化するにつれ、住民らは「環境を良くする小岩地区協議会」を中心に夜間パトロールを実施。駅北口にはパトカーに常駐してもらっている。防犯カメラの導入は、昨年五月の発砲事件をきっかけに決まった。
「水と安全はただという日本的な考え方は変わりつつある」と話すのは、同協議会の宮崎鎮雄会長(65)。「各党のマニフェストで言われている治安対策は今や遅すぎるくらいだ」と危機感をあらわにした。
江戸川区の昨年の刑法犯認知件数は約一万七千八百件と、都内市区町村で最悪だ。ある警察OBは「政治は拉致問題にも無為無策だった。今さらマニフェストを並べ立て治安対策を説いても、信用されないのでは」と手厳しい。
警察庁によると、昨年の全国の刑法犯認知件数は約二百八十五万三千七百件と、百四十万件前後で推移した終戦後から昭和五十年代までのほぼ二倍に上り、戦後最多だった。一方、検挙率は約二割と最低水準だ。「検挙にまさる防犯なし」の言葉は実を失った。
こうした状況下、ほとんどの政党はマニフェスト(政権公約)に治安回復への取り組みを盛り込んだ。自民党は、三年で全国の空き交番ゼロを目指す。民主党は、四年で警察官を三万人以上増員し、空き交番を解消する。与野党とも、警察力アップの方向でほぼ一致している。
治安問題が初めて政治課題として注視され、佐藤英彦警察庁長官は「警察の責任はますます重くなる。警察がやらなければ、国民も関係機関も動かない」と、トップとしてのプレッシャーを言外ににじませた。同庁幹部は「われわれは今まで何をしてきたのかという忸怩(じくじ)たる思いになる」と明かした。
“体感治安”の悪化を肌で感じ取っている住民の立場から、宮崎会長は「問題は、警察官がいかに住民とコミュニケーションを深め、地域の安全に生かすかだ。警察官の質を上げる施策も考えてほしい」とマニフェストに注文を付けた。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20031106/eve_____sya_____004.shtml