2003年11月05日(水) 22時32分
<ボランティア事典>学研が絶版と回収決める(毎日新聞)
大手出版社の学習研究社(東京都)が今年3月に発行した「ボランティア用語事典」に、間違った説明や偏った見方に基づく用語解説が多数見つかった問題で、同社は5日、同事典の絶版と回収を決めた。
来年2月をめどに全面改訂した新装版を刊行する予定といい、同社広報部は「事前にチェックできなかった点は購入先におわびしたい」としている。同事典は予約注文販売で、これまでに約4000部を発行、うち半数が学校図書館を中心に納入されている。
問題の記述は社会福祉法人大阪ボランティア協会などの調査で判明。全161語のうち、約6割の97語に事実と異なったり偏った見方の記述が見つかり、同社に抗議文を郵送していた。
同事典は6人の専門家らが執筆。監修者でもある高野(こうや)尚好・帝京大教授は「記述内容は、子どもたちに分かりやすいように努力したつもりだ。絶版は出版社の高度な判断と受け止めている」と話している。
一方、同協会常任運営委員の筒井のり子・龍谷大教授は「この事典はボランティアについて『困っている人を助けてあげる』という上下関係の視点が強く出ていた。そうではなく、住民が助け合って社会をつくっていく『ボランティアによる自治』の考え方が重要だ。新しい事典はさまざまな専門家の意見を聞いて作ってほしい」と話している。【岸桂子】(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031106-00000082-mai-soci