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子や孫を装って窮状を訴え、お年寄りから金をだまし取る「オレオレ詐欺」は、九州・山口での被害が今年に入って100件余りに上ることが毎日新聞の調べで分かった。被害総額も1億円近くに上る。マスコミ報道で被害が知られるようになり、手口が巧妙化している一方、詐欺師をだまし返して撃退した“強者”もいた。
■警戒心解く手口
「交通事故を起こした。口座に送金して」。各県とも、送金の口実の多くは交通事故だ。
ところが、手のこんだ手口も出てきた。山口県では息子を名乗る男が「オレだけど、携帯電話の番号を変えたから」とまず“仕掛け”をした後、翌日「借金の保証人になった。お金がいる」。2回目の電話も声が同じだったことから、信用した女性(57)は300万円を振り込んだ。このケースでは、女性が振り込みに訪れた郵便局で、局員が「オレオレ詐欺では」と注意、確認電話を入れたにもかかわらず、“変更”後の番号に電話してしまったため、被害は防げなかった。
大分県では「オレオレ詐欺被害者の弁護団をつくるから、活動費を振り込んで下さい」「銀行で送金しないよう言われるだろうけど、職員にだまされないで振り込んで」との文句も。長崎県では「心配かけたくないから、親には言わないで」。被害が知られるにつれ、犯人側はさらに悪知恵を絞ってくる。
■電話帳で狙い
被害者は50〜90代。「オレオレ」の電話に「Aね?」と孫の名前を先に口走ってしまい「そうそう、A」とだまされたり、不審に思いながらも、泣きながらの電話に「本当だったら大変」と送金してしまった例も。
大分県警の調べでは、電話帳で高齢者らしい名前を選んでかけているフシがあった。電話を受けた時間と被害者の氏名を整理すると、50音順に電話がかかっていたという。
沖縄県では、被害13件のうち、振り込みは1件だけ。12件は「友だちを代理で行かすから、その人にお金を渡して」と告げられ、その後に現れた若い男にだまし取られていた。
■こうして防いだ
お年寄りが詐欺師より上手だったのは山口県の例。電話を受けた女性は機転を利かせた。「Bちゃんかい?」の問いに、犯人は「そうそう」と調子良い返事。ところが「Bちゃん」は既に死亡した孫の名前。女性は見事に見破った。
宮崎県では未遂が9件あったが、いずれも「新聞などでオレオレ詐欺を知っていたから、おかしいと思った」。
今年、九州・山口地域でオレオレ詐欺事件の逮捕者はゼロだ。架空名義の口座などがネックになり捜査が難航。各県警は「不審な電話はまず警察に連絡を」と呼び掛けている。
事件の増加で、金融機関側も注意を徹底し始めている。鹿児島県では、銀行振り込みに訪れたお年寄りに「念のために確かめたほうがいい」と行員がアドバイス。本人と連絡が取れ、だまされずに済んだ。
◇オレオレ詐欺の被害
(各県警調べ、被害額は単位・万円)
県 被害件数 被害額
福 岡 約10 数百
佐 賀 4 約255
長 崎 6 三百数十
大 分 20 約2400
熊 本 二十数 二千数百
宮 崎 12 約910
鹿児島 十数 約800
沖 縄 13 約260
山 口 15 約1900
[毎日新聞11月5日] ( 2003-11-05-03:00 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20031105k0000m040136000c.html