2003年10月30日(木) 20時23分
組員の警官射殺、控訴審は山口組組長の使用者責任認定(読売新聞)
1995年8月、暴力団抗争を警戒中に対立組員と間違われて山口組系組員に射殺された京都府警の藤武剛警部(当時44歳)の妻と子供3人が、山口組トップの渡辺芳則組長(62)と傘下で3次団体山下組の山下薫元組長(62)、実行犯の元同組員2人を相手取り、約1億6400万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。
林醇裁判長は「下部組織の抗争は1次組織である山口組の事業で、幹部会などを通じて渡辺組長の指揮監督下にあった」として、渡辺組長の使用者責任を認定。使用者責任を認めなかった1審・京都地裁判決を変更し、4人に計約8000万円の支払いを命じた。
暴力団抗争で、組長の使用者責任を認めたのは高裁段階では初めて。日本最大の暴力団トップへの賠償命令は、傘下組員の抗争に対する抑止力になりそうだ。
林裁判長は、「山口組は、組織の維持拡大に関連する他団体との対立抗争を組総本部の事業と位置付けている。事件は山口組の威信を示すことが動機で、渡辺組長の指揮・監督下での行為」などと述べた。
判決によると、藤武さんは、京都・祇園の路上で、山口組系組員が会津小鉄会系組長に発砲する事件が発生したのを受け、この組長の事務所近くの路上で警戒中、山下組元組員に短銃で撃たれ、死亡した。
昨年の1審判決は、山下元組長と元組員らの共同不法行為を認定したが、渡辺組長の使用者責任は認めず、遺族と山下組側の双方が控訴していた。
暴力団抗争に絡んで組長の使用者責任を認めた判決は、沖縄県での高校生射殺事件など地裁段階で2件あるが、いずれも控訴審で否定されている。
渡辺組長の弁護団の話「判決には、使用者責任の解釈に根本的な誤りがある。最高裁の判断を求めることになるだろう」(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031030-00000206-yom-soci