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入学を辞退したのに、納めた入学金や授業料を返さないのは不当だとして97〜02年度の受験生21人が7大学と1中学校に計約2千万円の返還を求めた訴訟の判決が23日、東京地裁であった。斎藤隆裁判長は、消費者契約法施行後の02年度受験生のうち、新学期が始まる4月1日より前に入学辞退した4大学8人の前納授業料計約480万円については返還を命じ、そのほかの請求は棄却した。
入学時納入金の返還をめぐっては全国で300人以上が訴訟を提起。これまで京都、大阪の両地裁で5件の判決が出ているが、入学金返還義務の有無をめぐって判断が分かれ、多くの学校が集まる東京での初判断が注目されていた。この日の判決は、大阪地裁と同様、授業料の返還だけを認めており、この判断が定着しそうだ。
訴えられたのは、青山学院、関東学院、慶応、上智、星薬科、立正、早稲田の7大学と慶応普通部(中学校)。
裁判のポイントは、(1)入試の時期が、消費者保護のために整備された消費者契約法の施行(01年4月1日)よりも前か後か(2)返還されるのは授業料だけか、入学金も含むのか−−という点。
判決は、大阪地裁での判断を踏襲し、同法施行後の02年度受験生について、入学金を除く納入金の返還を命じた。いずれの学校も受験要項で「いかなる理由でも納入金は返還しない」と定めているが、判決は「入学時納入金の中には、最初の学年が終了するまでの費用が含まれる」と指摘。同法が適用され、授業料の前納分は支払い義務がないとして学校側の主張を退けた。入学辞退が4月1日の場合は「退学」にあたるとして返還の必要がないと判断した。
入学金については「学生の地位取得の対価」と性格を認定。「浪人生活回避の利益を得ている」などと指摘して返還は認めなかった。
7月の京都地裁判決は、4月1日の学年開始よりも前に契約を解除すれば、入学金も返還されるとの判断を示したが、その後の判決は、入学金は一種の入学資格を確保する権利金にあたるとして返還を認めていない。
◇
■前納入学金・授業料返還訴訟の裁判所の判断■
裁判所 判決日 受験日 入学金 授業料
京都 7月16日 後 △ ○
大阪 9月19日 前 × ×
大阪 10月6日 後 × ○
大阪 10月9日 前 × ×
大阪 10月16日 後 × ○
東京 10月23日 前 × ×
後 × △
※裁判所は地裁。「前」「後」は問題とした試験の受験日が消費者契約法の施行の前だったか後だったかを示す。○は返還、×は返還認めず、△は一部返還。(10/23 11:40)