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「もっと安全で快適な街を目指して−」。約十分の間隔で、「カメラ作動中」を知らせるアナウンスを流し、看板も三十五枚掲げている。
「アーケード改築に併せて安全面もきちっとしよう、と設置を決めた」と担当者。風俗店の呼び込みや交通事故、ごみ出しのマナー違反などの問題にも直面していた。
二十四時間稼働で、記録期間は十日間。映像を常時監視する人は置かない。運用開始に当たり内部規約を定め、法律に基づく要請を除き「記録の貸し出しは行わない」と盛り込んだ。
自動販売機をいたずらされた商店主が画像の開示を求めたが、まず被害届を出して警察官の立ち会いを求めるよう促した。一方、十月上旬に商店街近くで発生したひったくり事件では、警察署の要請に応じて不審な二人乗りミニバイクの画像を提供した。
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「カメラの映像が事件解決の決め手になるなど有用性が言われる一方で、『監視社会化』をおそれる声もある」
山田宏・杉並区長はカメラの効果がクローズアップされ、拍車が掛かる設置の動きをけん制。プライバシー保護の立場から七月、カメラの設置・運用基準の条例化に向けて学識者らの検討会議を発足させた。
防犯効果とプライバシー保護とのせめぎ合いは、同区が行った区民の意識調査にも表れる。
95%がカメラ設置に「犯罪抑止効果あり」と評価する一方で、「無差別に撮影されている不安感」を訴える人も34%。「記録画像がどのように使われているか」「モニターで誰が見ているか」−。こうした不安の払しょくに向けて杉並区がどんな条例を打ち出すか、注目されている。
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「カメラの設置効果はあったが、喜べないこともある」。高円寺パル商店街の担当者が打ち明けた。「アーケードから出たところで、やられているんです」
区内のある商店主は「これだけ犯罪が多いと、カメラでも設置しなきゃ安心できない。条例が設置の足かせにならなければいいが」と懸念。また、「プライバシーとカメラの問題は地域的な話ではないはず。ほかの自治体も巻き込んで、もっと広い範囲で調整すべきだ」との声もある。
犯罪への不安とプライバシー侵害への不安。混迷する社会情勢を映すこれら二つの不安を同時にぬぐう着地点は、まだ見えない。
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「国民の安全を守る」「地域の再生」「安心の社会保障」−衆院選に向けた各政党のマニフェスト(政権公約)が花盛りの中、犯罪が多発する都内では治安回復を望む声が高まりをみせる。住民が急増してインフラ整備が追い付かなかったり、地価下落に伴い高齢者施設が市部に集中したりと、新たな問題も生じている。衆院選の公示まで一週間。首都・東京が抱える影を各地に追った。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tko/20031021/lcl_____tko_____000.shtml