2003年10月14日(火) 00時00分
脳疲労いやせば肥満解消/福岡に専門病院(朝日新聞・)
ストレスからくる脳疲労を肥満の原因ととらえ、疲れの解消を通じてダイエットや生活習慣病予防を試みる専門病院が、福岡市博多区に開業した。藤野武彦・九州大名誉教授が築いた「ブックス理論」に基づき、食事制限にこだわらない新たな処方箋(せん)を示す。
博多区店屋町の「BOOCSクリニック福岡」で、藤野氏が医療法人の理事長を務める。
ブックス(BOOCS)は、「脳を」「目指した」「自己」「調整」「システム」を表す英語の頭文字。
藤野氏によると、脳疲労から生じる味覚のずれなど五感の異常が過食や偏食を引き起こし、肥満につながっているという。そのため、一般的な食事制限や運動療法と違い、心理的な負担になりかねない「あれもダメ、これもダメ」という禁止や抑制をせず、健康によく、自分が心地よく感じられることを続ける。
特に、毎日の食事に着目。夕食をおいしく、満足いくように食べる「1日1快食」によりストレスが軽減し、肥満が解消できるという。
福岡県市町村職員共済組合は、肥満に悩む自治体職員のために92年から健康セミナーにブックスを取り入れた。藤野氏らによると、半年後もブックスを継続した人の約95%で体重が減った。
2年後でも、肥満の基準数値(BMI)が92年の検査時を超えなかった人が約80%を占めるなど、しばらくして体重が戻ってしまうリバウンドの傾向が少なかった。
クリニック院長の斉藤和之医師は、かつて勤務した病院での糖尿病治療の検証結果をふまえ、従来のカロリー制限療法と同等の血糖コントロールや減量が可能として、近く海外の医学誌に論文を発表するという。
クリニックでは、栄養士資格をもつ2人のカウンセラーがセミナーや相談にあたり、食事法を紹介する。藤野理事長は「食べると太るという不安、常識を打ち破るために、実行してほしい」としている。問い合わせは092・283・6852。
因果関係の解明に期待 大柿哲朗・九州大学健康科学センター教授(運動生理学)の話 食事やカロリーを制限しない方法は精神的にいい効果が表れ、(減量効果など)実績も出ているようだ。ただ、脳疲労と肥満の因果関係を解明することは難しく、その点をさらに明らかにしていくことに期待したい。
(10/14)
http://mytown.asahi.com/fukuoka/news02.asp?kiji=5348
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