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日本弁護士連合会会長を務めた弁護士の中坊公平氏(74)=京都市在住=が、弁護士を辞める意向を固め、10日、所属する大阪弁護士会に登録取消請求書と退会届を出した。初代社長を務めた住宅金融債権管理機構(現整理回収機構=RCC)時代の不適切な債権回収業務をめぐり詐欺容疑で告発され、東京地検特捜部の事情聴取を受けており、こうした捜査が弁護士廃業へのきっかけになったとみられる。
弁護士として活動するには弁護士会に所属し、日弁連に登録することが義務づけられている。登録の取り消しで弁護士を廃業したことになる。
問題の回収をめぐっては民事で和解が成立している。起訴されるかどうかは現段階では未定で、東京地検幹部は「捜査を尽くし、上級庁と協議の上で、最終的な判断を決める」と話している。
問題となったのは、旧住宅金融専門会社(住専)に多額の負債があった朝日住建(大阪市)が担保に出していた大阪府堺市の土地計約1万7000平方メートルをめぐる債権回収。同社元幹部が昨年10月、中坊氏や、回収を直接担当した住管機構の顧問弁護士らを告発していた。
告発状などによると、問題の土地は2区画に分かれ、狭くて利用価値の低い区画は住管側が優先回収権を持ち、広い区画は、横浜銀行など2社が優先回収権を持っていた。97年に債権回収に乗り出した顧問弁護士らは、両方の土地の一括売買を2社に持ちかけた。その際、住管側の取り分を多くするため、住管が優先回収権を持つ区画を著しく高く評価した売却計画を作成するなどして2社をだまし、抵当権を抹消させたという。
中坊氏は96〜99年の社長時代、判断が難しい100件以上の債権を「社長直轄」とし、回収方針などを自ら決断していたとされる。このため、今回の問題が発覚後、道義的な監督責任があるとしてRCCの顧問を辞任。担当した弁護士もRCCを辞任し、担当役員と回収に携わった職員2人が懲戒処分を受けた。
住管機構は、バブル時代の不動産融資のつけで破綻(はたん)した住専の処理のための「国策会社」。政府が住専処理に公的資金を投入したことに批判が高まり、中坊氏は「戦後処理」を任される形で社長に就任。「国民にこれ以上負担をかけない」を公約に、透明、公正な回収を掲げた。指導監督する「預金保険機構」には現職の検察官や裁判官も出向し、中坊氏らの作業を支えた。
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弁護士の登録取消請求書を出した中坊弁護士は10日午前、大阪市北区の大阪司法記者クラブで会見した。債権回収業務の不正が告発され、東京地検特捜部の取り調べを受けたことを認め、「私の責任として厳粛に受け止めなければなりません」と話した。
(10/10 11:36)