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茨城県の食肉処理場で解体された牛が牛海綿状脳症(BSE)の疑いがあった問題で、厚生労働省は6日、専門家会議(座長=品川森一・動物衛生研究所プリオン病研究センター長)を開いて、これまで世界で見つかっていた異常プリオンとはたんぱく質の構造が一部異なったタイプのBSEと判断した。国内でBSEと判断された牛は8例目。生後23カ月で感染が確認されたのは世界でも異例に早い。
英国では生後2年前後で発症した例もあるが、発症のメカニズムから、BSEの原因となる異常プリオンの蓄積は生後30カ月以降に顕著になると考えられている。欧州連合(EU)では、BSE検査の対象を30カ月以上としており、国際的には若い牛が発症する危険性は軽視されてきた。
今回の例は、新たなタイプのBSEの可能性もあり、病態や感染力は不明なことから同省は早急にマウスを使った実験に入る。
この牛は、国内で初めてBSEの牛が発見され、01年10月に牛の肉骨粉の輸入・使用・販売が禁止された後に生まれた。感染原因とされる肉骨粉をえさとして与えることが禁止されていたことから、感染ルートの解明も急務となる。
食肉は焼却処分されるほか、同じ牧場で育った牛は移動が禁止される。茨城県から同省への報告では、この牛が育てられた過程で肉骨粉を与えたという記録はない、という。
この牛は01年10月25日に栃木県で生まれたホルスタインの雄で、栃木県や福島県で育てられていた。先月29日、茨城県の食肉処理場に運び込まれた後、同県の県北食肉衛生検査所での1次検査で陽性となり、その後、国立感染症研究所(東京都)で2次検査を行った。この牛に歩行困難などの症状は見られなかったという。
2次検査で3種類の検査をしたところ、脳の検体を電気的にふるい分けした画像で病原体の有無を判断する「ウエスタンブロット法」で、異常なプリオンたんぱくが検出された。ほかの2種類の検査結果は陰性だった。
専門家会議で詳しく検討した結果、これまでのBSEで見つかった異常プリオンたんぱくとは構造が少し違うことがわかった。量が少なく、たんぱくを分解する酵素に弱いなどの特徴が見られるという。
品川座長は「BSEに特徴的なたんぱく質は検出されたが、(これまでの7例などとは)同じではない。しかし感染初期にはこういった形もでるのかもしれない。世界でも初めてのタイプで分からないことばかり。感染実験をして、検証するしかない」と話した。
過去に見つかった7頭のBSE感染牛はいずれも、95〜96年生まれだった。農水省の「BSEに関する技術検討会」は9月30日、7頭の感染源について海外から輸入された肉骨粉の可能性があるとの最終報告をまとめたが、具体的な感染源は特定できなかった。(10/06 22:14)