2003年10月06日(月) 22時35分
[目]出会い系サイト規制法施行 犯罪抑止の手がかりに /鹿児島(毎日新聞)
◇犯罪抑止の手がかりに
インターネットのサイト上で、子供を性行為に誘うことなどを禁じた出会い系サイト規制法が先月13日、施行された。県内でも出会い系サイトによる被害は増加している。子供たちはなぜサイトを利用するのか。法規制以外に被害を防止する手だてはないのかを考えた。【松谷譲二】
出会い系サイトは、電子メールの交換などを通して、友人や交際相手を探す場所だ。試しに携帯電話で接続してみた。全国を対象にしたサイトだったが、地域別に絞り込める。「鹿児島県」分だけを開いても大量の書き込みが現れた。「誰か暇な人いる? ドライブに行こうよ」(男、20〜24歳、鹿児島市内)「最近彼氏と別れて寂しいんだ。慰めてくれる人募集」(女、19才、同)。援助交際をほのめかすものもある。誰が書いているのか、書かれている年齢や身の上話が本当なのかは分からない。
県警によると、県内では昨年、出会い系サイト絡みで16件13人が婦女暴行容疑などで検挙された。今年は7月末現在で12件12人と前年同期(10件7人)より増加している。
昨年10月には、鹿児島市の男(28)が出会い系サイトで知り合った中学2年の少女に金を払ってみだらな行為をしたとして児童買春法違反容疑で逮捕された。男は「犯罪と分かっていたが、ばれないと思った」と話したといい、少年課は「大人のモラル低下が著しい」と嘆く。
こうした誘う側や、サイトの運営者を規制するのが、出会い系サイト規制法だ。18歳未満の子供を性行為に誘ったり、金銭と引き換えに交際に誘う書き込みをすること(不正誘引)などを禁止し、違反者には100万円以下の罰金を科す。少年課は「一定の抑止力になる」と期待する。
一方、誘われる側の少女には、少年課は「出会い系サイトには犯罪に巻き込まれる危険が潜む。安易に利用するべきではない」と呼びかける。少女たちはどうして危ないサイトを利用するのか。
平日午後8時ごろ、天文館を歩く制服姿の女子高生に話を聞いた。「知らない人と会うこと自体が怖い。犯罪に遭っても本人の責任」(3年生・18歳)など利用したことがないという女子高生がほとんどだったが、ある2年生(17)は「書き込みに返事を出している」と答えた。
「知らない人だから話せることもある。夜、誰からもメールが入らないと寂しい」。書き込みの相手とドライブに行く約束をして、友達と待ち合わせ場所まで行ったこともある。だが「怖くなって帰ってきた。友人は車に乗った」という。
「寂しい」という言葉が胸に引っかかった。利用する理由については、県教委の立石望・学校教育課生徒指導係長も「悩みや不安を聞いてくれる相手がいないからではないか」と話す。県教委は学校現場に対し、子供たちに周囲に相談することの大切さを教えるよう指導している。
しかし、それだけで子供たちの寂しさが消えるはずもない。法律や学校任せにせず、だれもがまず、身近にいる子供たちと向き合うことも必要ではないかと感じた。(毎日新聞)
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