2003年10月03日(金) 00時00分
はねた教諭相手取り両親ら賠償求め訴訟仏壇には交通事故で死亡した尚己君の遺影が並ぶ=階上町の田代文雄さん宅で(朝日新聞・)
小2次男交通事故死 苦しみ負った家族の存在忘れないでほしい 階上町の通学路で01年6月、小学2年生だった田代尚己君(当時8)が乗用車にはねられて死亡した事故で、尚己君の遺族が、事故を起こした教諭(28)=業務上過失致死罪などで禁固1年4カ月、執行猶予3年、昨年5月に退職=を相手取って、損害賠償と慰謝料を求める訴えを青森地裁八戸支部に起こして争っている。両親は教諭に「苦しみを負った家族の存在を忘れないでほしい」と、月命日ごとに慰謝料を分割して支払うよう求めている。
裁判を起こしたのは階上町の田代文雄さん(44)と祐子さん(44)、長男(11)、祖父(77)、祖母(73)。
事故は01年6月30日午前7時半ごろ発生。交差点を渡っていた尚己君に、直進してきた教諭が気づくのが遅れた。尚己君は頭を打って死亡した。尚己君はダウン症で、4年生の兄と一緒に通学途中だった。
田代さんは事故原因について、教諭が制限時速40キロなのに60キロ以上で走行し、注意義務を怠って漫然と運転していたと指摘。衝突後、教諭は尚己君をボンネットに乗せたまま蛇行し、20メートル先の路上に跳ね飛ばした、としている。事故後、祐子さんと長男は心的外傷性ストレス障害を負った。
賠償請求額は、尚己君が生きていれば得られただろう逸失利益と慰謝料、葬儀や弁護士の費用で、自動車損害賠償責任保険からの支払いを引いた計約5700万円。このうち田代さん夫婦に慰謝料計1千万円を、来年6月30日の命日から32年3月まで毎月分割して支払うよう求めている。
祐子さんは「子供を失った悲しみはお金であがなえるものではないけど、時間の経過とともに事故が風化してしまう可能性がある。教諭には苦しむ家族がいることを決して忘れないよう、分割して支払いを求めた」と話している。
6月の提訴後、2度の口頭弁論が開かれ、教諭側は時速60キロ以上で走行していたという指摘を否定。「ダウン症の児童の通学に両親が同伴していなかった過失がある」「被害者は障害があり、平均賃金に基づく算定は合理的とは言えない」などと反論している。
(10/3)
http://mytown.asahi.com/aomori/news01.asp?kiji=5276
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