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2003年09月27日(土) 00時00分

青戸病院事件 『知識、技術、経験なかった』 東京新聞

 東京慈恵会医科大付属青戸病院(東京都葛飾区)で、前立腺がんの摘出手術を受けた千葉県松戸市の男性患者=当時(60)=が死亡した事件で、業務上過失致死容疑で逮捕された医師三人のうち、手術で執刀リーダーを務めた斑目旬容疑者(38)が警視庁亀有署捜査本部の調べに対し「自分に知識、技術、経験がなかったことで患者を死なせてしまった」と、容疑を認める供述を始めたことが二十六日、分かった。

 三人は「研究がしたかった。実績をつくりたかった」とも供述しており、捜査本部は経験不足にもかかわらず、難易度の高い手術を選択した動機をさらに追及している。

 調べでは、三人は高度先進医療に指定された、内視鏡を使った「腹腔(ふっくう)鏡下手術」で患者のがんを摘出したが、大量出血に気付かないまま手術を継続。出血に気付いた後も麻酔科医が指摘した開腹手術への変更を拒み、内視鏡による手術を三時間半続けた結果、出血多量による低酸素脳症に陥らせ約一カ月後に死亡させた疑い。

 斑目容疑者は、腹腔鏡下手術の助手として同大付属病院(港区)で二例経験があったが、いずれも完遂できず、途中で開腹手術に移行していた。同手術を上司の泌尿器科診療部長に提案した長谷川太郎容疑者(34)、前田重孝容疑者(32)の二人は動物でトレーニングしただけだった。

 一方、手術の許可を出した泌尿器科診療部長も調べに対し「安易に許可を与えてしまった。責任を痛感している」と容疑を認めている。

 同病院の落合和彦院長は二十六日、都医療安全課を訪れ、今回の事件の経緯を説明。同課は再発防止を指導した。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20030927/mng_____sya_____008.shtml