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2003年09月26日(金) 21時56分

カウンセリング治療「ギャンブル依存症」に効果−−菊陽病院と支援団体 /熊本毎日新聞

 ◇多重債務の整理協力も
 菊陽町の菊陽病院が、多重債務者支援団体の協力を得て、借金漬けになった「ギャンブル依存症」患者の治療を行い、効果を上げている。病院がカウンセリングなどの治療を進める一方で、支援団体が生活再建に向けた借金整理を担う手法。ヤミ金融被害などの拡大に伴い、患者は九州一円から集まっている。【石川淳一】
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 ■「依存症は病気」
 「依存症は病気。本人の意思だけでは治せない」。菊陽病院の精神科医、赤木健利さん(60)はその認識に立って、96年から治療に取り組んできた。
 患者はパチンコなどのギャンブルや買い物を重ね、数百万〜数千万円の借金を抱えている。本人に危機感はなく、切羽詰まった家族が連れて来るケースが多い。「患者はギャンブルで借金を返そうとして、逆に借金を膨らませる。借金依存症とも言える」と赤木医師。
 絶えず7〜8人が入院。平均3カ月の入院中にギャンブル生活から隔離し、カウンセリングなどで徹底的に自分と向き合わせ、病気を自覚させる。治療のメーンは、患者同士が借金体験などを語り合う週1回のミーティング。「議論を繰り返すことで、ギャンブルから脱却した自分がイメージできる」という。
 ■借金整理し治療専念
 治療と並行して、多重債務者を支援する「熊本クレ・サラ・日掛被害をなくす会」が患者の債務整理を行う。自己破産や任意整理、特定調停などの法的手続きを進め、退院までに金銭トラブルを解決する。吉田洋一相談員は「依存症患者は借金で頭がいっぱいで、債務整理しないと治療に専念できない」と話す。
 パチンコが原因で約2000万円の借金を作った50代の男性は、01年から入退院を繰り返す。1回目の退院直後は妻の財布から現金を抜き取ってパチンコに通ったが、昨年は7カ月耐えた。今は3回目の入院中。「自分を見つめ直すことで、これまでのひどさが分かった。パチンコをやめる自信は8割」という。来年には借金を完済する予定だ。
 50代の女性はパチンコが原因で97年に自己破産し、その後もヤミ金融から借金を重ねて02年に入院。取り立ての車4台に囲まれ、知る限りの親類に無心したこともある。「まだ熟睡は出来ないが、ほかの患者の話を聞くと心が和らぐ」と言う。
 ■家族の勇気も必要
 入院患者はこれまでに約300人。しかし退院後に再び借金に手を染めることが多く、自助グループに参加するなど長期的な治療が必要という。赤木医師は「家族が借金を丸抱えしては本人のためにならない。突き放す勇気も必要」と、家族の意識改革も訴えている。
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 ■ことば
 ◇ギャンブル依存症
 病的賭博とも呼ばれ、欧米の精神医学界では80年代後半から病気として認知されている。自身の行動をコントロールできずギャンブルに走り、多重債務に陥る。盗癖などと併発する例もある。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030926-00000001-mai-l43