2003年09月26日(金) 03時00分

青戸病院事件：「安心していたのに」死亡患者家族、涙で怒り（毎日新聞）

　東京慈恵会医科大学付属青戸病院で前立腺摘出手術を受け死亡した男性患者（当時６０歳）＝千葉県松戸市＝は、中学卒業後に集団就職で上京し、菓子の営業を長年にわたり務めてきた。昨年の入院前には「たいした手術じゃない。病室にパソコンを持ち込んで年賀状でも作る」と、知人に話していたという。男性の長女は２５日夜、「大きな病院で、お父さんも安心していた感じだったのに」と、涙ながらに語った。

　１０代のころからの知人（６１）によると、男性は石川県の中学を卒業後、集団就職で東京都葛飾区内の菓子卸会社に就職した。定時制高校を皆勤賞で卒業。１０年ほど前に会社はかわったが、一貫して菓子の営業をしてきた。カラオケと社交ダンスが趣味。まじめな仕事ぶりで信頼が厚く、葬儀には約４００人が参列したという。

　この知人は「これでは手術室は医者のトレーニングルームだ。手術後は顔がぱんぱんにはれ、彼の無念さが伝わってきた」と語った。

　男性の長女は２５日夜、「実際に手術をした医師には怒りそのものを感じ、（逮捕は）当然の結果と認識しているが、管理する病院の対応も不誠実な感じを受けている」と話した。

　病院側はこれまで遺族に直接謝罪には来ていないといい、「報道で初めていろいろなことが分かった。あまりにずさんで問題があり、これではお父さんがかわいそう。せめて心から認めて謝ってほしい」と訴えた。【川辺康広、三木陽介】

［毎日新聞９月２６日］ ( 2003-09-26-03:00 )

http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20030926k0000m040135000c.html