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インターネットにつないだパソコン同士で、画像やソフトウエアなどを交換する「ファイル交換ソフト」の使用者が急増中だ。接続端末は100万台を超えた。匿名で交換できるため、著作権法に違反して複製された音楽や映画が数多く流通する問題が広がっている。一方で使用者の特定につながる検索システムも開発され、「サイバー対決」の様相を見せ始めた。
「ロード・オブ・ザ・リング2日本語字幕付き」「踊る大捜査線2」……。
インターネット上で無料で公開されているファイル交換ソフト「Winny2」で検索すると、発売前の映画や、ほんの数時間前に放送された人気アニメ番組などのファイル名が並んでいた。名前と中身が違う偽ファイルも多いが、「本物」も存在する。何者かが違法に複製してネット上に流したものだ。
現在、国内で使われている主なファイル交換ソフトには「Winny」系と「WinMX」系がある。プログラマーが独自に開発したり、外国製のものを日本用に作り替えたりしたとされる。
仕組みは、こうだ。ファイル交換ソフトを導入した人は、まず自分のパソコンに入っているファイルの中から提供できるものをネット上に公開する。その上で、不特定多数の人が公開しているファイルの中から、欲しい映像や音楽を検索。見つかれば、自分のパソコンに複製して取り込むのが一般的だ。
民間の調査会社「ネットアーク」(東京都)が開発した、ファイル交換ソフト利用者の自動検索システムによると、9月1日現在、交換ソフトを使っているパソコンは118万台超。6月の時点では約6万台だったのが、爆発的に増えた。
また、社団法人「コンピュータソフトウェア著作権協会」は、1月に行ったアンケート結果から、ファイル交換ソフトの使用者は約98万人で、ネット利用者約2900万人の3.4%と推計している。
利用者が急増した背景には、ADSL(非対称デジタル加入者線)などの普及で、大量のデータを高速にやり取りできるインターネット環境が整ったことや、ファイル交換ソフトの使用方法を解説した雑誌や本が一般の書店に並ぶようになったことがある。
同協会は、ファイル交換ソフトを使って著作権侵害が行われていると判断した場合は、ファイルを公開した人物に警告メールを送信。悪質な例は警察に情報提供して告発も検討している。
「Winny」などは、交換するファイルを暗号化したうえ、複数のパソコンを経由させるため、雑誌では「匿名性が高い」と紹介されている。しかし、ネットアークの松本直人社長は「技術的には、どんな種類のファイル交換ソフトでも、利用者を特定することは可能だ」と指摘する。
同社は、開発した検索システムを使い、著作権を保護する業界団体に協力していく構えだ。松本社長は「ファイル交換の利用者は、匿名性を保つことはできないことを理解して、違法行為をしないでほしい」と話している。
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<ファイル交換ソフト> 2台のコンピューターが、インターネット経由で直接情報交換を行う「ピアツーピア(P2P)」と呼ばれる技術を使い、希望者間でファイルを交換するソフト。ソフトの使用者同士が画面上で交渉してファイルを交換する形式や、そうしたやり取りがなくても、誰かが公開したファイルを一方的に複製する方式がある。
(09/19 18:11)