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2003年09月18日(木) 03時20分

<中小企業向け融資>新規事業対象に個人保証求めず毎日新聞

 政府は17日、商工中金と中小企業金融公庫に対して、新規事業を手がけようとする中小企業やベンチャー企業を対象に、経営者個人の保証を免除し、担保責任を大幅に緩和した融資制度を創設させる方針を固めた。来年4月にスタートさせ、一事業ごとの貸付限度額は数億円、融資期間は最長15年になる見通し。新制度創設は、高い技術やノウハウを持っている経営者が新規事業や起業をやりやすくし、中小企業の経営者に無限責任を求める慣行を改めることを狙っている。

 政府系金融機関が中小企業向け融資で、個人保証を求めない融資を本格的に導入するのは初めて。

 個人保証を免除すると、融資を回収できなくなる可能性があるため、商工中金と中小公庫は、融資にあたって、事業内容を精査し、貸出金利をやや高めに設定する考え。融資を受ける中小企業には、自社の財務悪化を防ぐ契約(財務制限条項)を結ぶよう求める。制限条項は(1)自社の資産を勝手に売却しない(2)経常黒字を維持する(3)借り入れを制限する——などが柱。担保も融資額の50〜75%分を免除する。

 日本の中小企業(約500万社)の開業率は90年以降、年3%(約15万社)程度に落ち込み、80年ごろの約6%から半減。開業率急減が日本経済の活力を低下させていると指摘されてきた。急減したのは、中小企業が破たんに追い込まれた場合、欧米と違い経営者が融資に対し個人保証をしていることから、企業経営のリスクが高すぎるためとの見方が有力だ。個人保証を理由に企業の将来の借金の返済を求められるケースまであった。

 商工中金と中小公庫もこれまでの中小企業向け融資では、民間金融機関と同様、すべてに経営者から個人保証を取り付け、担保として住宅や車、家財などを登記してきた。しかし、中小企業の活力アップのため、「中小企業向け融資は原則としてすべて個人保証が不可欠」という経営者に過剰な負担をかける日本の企業風土の転換が必要と判断。新たな融資制度を創設することにした。【藤好陽太郎】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030918-00000163-mai-bus_all