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2003年09月12日(金) 15時32分

<節電器詐欺>被害者の延滞情報流さないで毎日新聞

 東京の販売会社「アイディック」(任意整理中)が効果を偽り節電器を販売していた問題で、神戸地裁などが、ア社と加盟店契約した信販会社に対し、ローン支払いを拒んだ節電器購入者の延滞情報(事故情報)を個人信用情報機関に流さないよう求める仮処分を出していたことが12日、分かった。

 購入者らは今月末にもア社や信販各社を相手取り全国一斉提訴する方針だが、節電器を巡る問題で信販会社に対する仮処分決定は全国で初めて。これまで、信販会社のブラックリストに載ることによる経営への影響を考えて泣き寝入りしていた自営業者も多く、弁護団は「被害者が安心して裁判に加わるための画期的な決定だ」と評価している。

 関係者によると、仮処分を申し立てたのは神戸市と兵庫県高砂市の二つの飲食店。02年11月までに、ア社の「省電王」を約70万〜150万円で購入する契約を大阪市の信販会社と結んだが、省エネ効果は無かった。今年5月ごろ、ア社の詐欺的な商法を新聞報道で知り、クレジット代金の支払い拒絶を信販会社に通知したが、「支払い拒絶の法的理由はなく、未払いが3カ月に達すると個人信用調査機関『シー・アイ・シー』(東京都)に登録する。情報は銀行、消費者金融系の機関にも流れる場合がある」と回答してきたという。

 このため購入者の代理人は「信販会社の対応は自営業者への脅しとしか思えず、むしろア社と加盟店契約をした信販会社に落ち度がある」などと今月2日、神戸地裁と同地裁姫路支部にそれぞれ仮処分を申し立て、「申し立ては相当」とする決定が出された。

 シー・アイ・シーは、84年9月に設立され、現在約790の信販・クレジット会社が加盟。クレジット利用者の契約情報などを管理し、延滞情報は銀行系の「全国銀行個人信用情報センター」、消費者金融系の「全国信用情報センター連合会」と共有している。信販会社は延滞情報をシー・アイ・シーに原則として報告しなくてはならないが、支払い拒絶の正当な理由があれば登録してはならないとされている。【井上大作】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030912-00001077-mai-soci