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一般市民を標的にし多数の犠牲を強いた無差別テロは、ニューヨークの世界貿易センタービルに発したあとインドネシア、フィリピン、パキスタン、チュニジア、ケニア、サウジアラビアなどへ拡散し、とどまるところを知らない。
犠牲となった人々に深い哀悼の意を表するとともに、あらためて憤怒を禁じ得ない。文明社会は決してテロに屈服しないと表明しよう。
国際テロ組織アルカイダは一連のテロ事件に関与し、勢力や資金力は衰えていない。創設者で同時テロの首謀者ウサマ・ビンラディン氏の生存も伝えられる。九十カ国以上に関連組織、分派、支持勢力があるとされ、東南アジアのジェマ・イスラミア(JI)など各地域のテロ集団との連携も強い。
アルカイダは、米国などの圧倒的な力に対抗する有効な手段がイスラム社会の不満などを最大限利用したゲリラ戦だと主張する。アフガニスタンでの敗退などは意に介さず、執拗(しつよう)に爆弾テロ攻撃を続けており、彼らとの戦いは少なくとも今後数年間は続こうとの指摘もある。
国際テロの拡散を防止するためには、国連を中心に国際機関、各国政府が緊密で強固な協力体制をあらためて構築することが緊急課題だ。
ブッシュ米大統領は「イラクは対テロ戦争の主戦場だ」と強調した。イラクの混迷は、国際テロ組織にゲリラ戦の場所と機会を提供している格好だ。米国はこの状況を招いた責任を想起してほしい。
イラク安定の道は、国連の権威と主導のもとで加盟国の力を集め再建への参加を幅広く認めることが前提だ。同時にイラク統治評議会が実質的な権限を有し、国連の助言を受けて「イラク人による統治」実現へ早期に国民を糾合することが重要だ。
当面、日常生活に不安を抱えるイラク国民を、国際社会は迅速かつ集中して支援すべきである。生活の保障は人心安定への基本的要素であり、一般民衆とテロ組織を分断させる可能性も高める。
米英仏中ロの安保理常任理事国は十三日に外相会議を開く。平和と安全確保への五カ国の責任は重い。イラクの行方はテロとの戦いに勝利することへ直結している。五カ国外相は、過去の対立や国益、思惑を排除して、大局的見地から建設的な方策を見いださねばならない。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20030911/col_____sha_____003.shtml