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◆利点いろいろ
午後五時は、なぜか赤ちゃんがぐずりがちで「たそがれ泣き」と呼ばれる時間帯。静岡市の主婦藤田晶子さん(32)は長男(1つ)をおんぶし、長女(4つ)の遊び相手をしながら夕食づくりを始める。背中の長男は間もなく寝息をたて始めた。
藤田さんが使っているのは、戦後しばらく普及した背当てだけが付いたおんぶひも。長女の時は、金具で着脱する抱っこ併用の子守帯を使ったが「扱いが面倒で、背中で寝た子を簡単に布団に下ろせず、逆に疲れてしまって」。一週間で使うのをやめた。
おんぶひもだと、赤ちゃんが肩だけにぶら下がらず、背中全体に密着するため楽で、寝かし付けにも毎日愛用している。
おんぶの利点には諸説ある。
「育児の百科」「私は赤ちゃん」などの育児書で知られる小児科医の故松田道雄氏は(1)おんぶの風習のある国では股(こ)関節脱臼が少ない(2)親子が肌の温かさをともに感じる親しさのコミュニケーション(3)最も安全な赤ちゃんの運搬法−などを挙げて奨励した。
◆入荷待ち状態
藤田さんは、おんぶひもをインターネットのサイト「北極しろくま堂」で購入した。静岡市の主婦園田正世さん(36)が、戦前に主流だった約四メートルの「一本ひも」を商品化した。
二年前の販売開始の時、園田さんはメーカー側から「今どきのお母さんには使いこなせない」とくぎを刺されたが、予想に反し人気は上々。背当て付き型の販売を求める声が寄せられると、メーカーが昭和三十年代当時の型紙を探し、製造を再開してくれた。
現在は頭当て付きも加え三種類を販売。月に計約百五十本入荷するが、サイトに掲載するとすぐに売り切れ。掲示板に「次の入荷はいつ?」との書き込みが相次ぐ。
町中でのおんぶ姿が減ったのは、胸が強調される「前ばってん」が敬遠されたのも一因だが「冬ならコート、暖かい時期は前当て付きのエプロンで隠す」と藤田さん。
園田さんは、おんぶひもの色や柄をさらに増やし、スタイルを重視する要望にも応えたいと考えている。最近はフィンランドや米国など海外からも注文が入り、体の大きい外国人向けにひもが長いサイズも扱い始めているという。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20030910/eve_____sya_____003.shtml