2003年09月09日(火) 00時00分
和光食糧の輸入古米虚偽販売事件(朝日新聞・)
「銘柄米100%」約10年前から コメの偽装表示は長年の慣行だった──。米国産輸入古米を混ぜたコメを会津産コシヒカリと偽って販売したとして、郡山市の和光食糧前社長、増子英明容疑者(52)らが不正競争防止法違反の疑いで郡山署に逮捕された事件で、同社は創業の3、4年後から、偽装米を「銘柄米100%」と偽って販売していたことが同署の調べでわかった。偽装発覚後も虚偽表示を続ける悪質な行為に、同署も外国産米を混入した虚偽表示で全国初の逮捕に踏み切った。
850トンを7都道府県で
偽装発覚後も続ける 「一般消費者にとって大きな実害が出た」。増子容疑者らの容疑内容を発表した同署幹部は力を込めて言った。
調べでは、増子容疑者らは今年1〜2月、県内と都内の2業者に米国産古米を混ぜたコメ約2.25トンを「福島県喜多方コシヒカリ14年産100%」と偽って販売した疑い。
だが、同署によると、容疑事実以外にも同社は創立した90年の3、4年後から、国産の安いコメを混ぜた物を銘柄米と偽るなど、偽装米の販売が常態化していた。
外国産米を使ったのは会社設立から3、4年後から。7都道県の業者に計約850トンの偽装米を販売したといい、同社が扱う一般消費者用のコメの大部分が虚偽表示だったという。
「少しでも利益を増やしたい。味さえ良ければ、虚偽表示をしてもいいと思っていた」。調べに対し、増子容疑者はこう話している。
同社では、銘柄米でないことが食べても分からないように、輸入米の混入割合を社員が試食して決めることまでしていたという。
「会津産コシヒカリにしてはまずい」と消費者の舌が偽装を見破り、2月に同社は県からJAS法に基づく行政処分を受けた。しかし、2月3日の発覚後も同月中旬まで虚偽表示を続けていたことがわかった。度重なる悪質な行為に同署は、増子容疑者らの逮捕を決断したという。
この日は、同署が両容疑者の自宅と会社事務所の計3カ所で午後1時まで家宅捜索を行った。
同社はこの日午前、「主食にかかわる事業を営む物としてあってはならない行為を犯しました。消費者と生産者の皆様に心よりおわび申し上げます」という増子澄子社長名義のコメントを報道各社に配った。増子社長は増子容疑者の妻。
「表示信用して買う」 同署や信用調査会社によると、同社は従業員11人。業務用米の販売が取引の主体で、逮捕につながった偽装米は、スーパーなどに卸す一般消費者向けの米だった。
ここ数年、経常利益も伸び続け、今年2月に偽装行為が発覚した後も、経営は安定していたという。
同社と取引のある飲食業者は「今回の前社長逮捕で、改めて商品の品質チェックも業者任せにせず、自ら徹底して行う必要を感じた」と話した。郡山市内のある米穀店は「今回の事件で米屋はみんな偽装をしていると思われるのは心外だ」と憤る。
消費者のショックも大きい。市内のスーパーでコメを買っていた女性(56)は「消費者は詳しいことは分からないから表示を信用して買ってしまう。だから、業者は信頼される商品を出して欲しい」と話した。
悪質な事実あれば対応
県、警察調べ見守る構え 今年2月、JAS法に基づき、同社に行政処分を下した県はこの日、捜査当局の調べを見守る構えを見せた。
県によると、行政処分後も偽装米を売っているような悪質な行為があれば、国に連絡し改善命令が出る。それでも従わない場合は、1億円以下の罰金を支払わなければならない。
県農産物安全グループは「警察の調べでさらに悪質な事実が出てくれば、消費者の信頼を守るため、県でも適切な対応を検討したい」と話している。
(9/9)
http://mytown.asahi.com/fukushima/news02.asp?kiji=4677
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