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今月から速度抑制装置が義務付けられたのは、トラックのうち総重量で八トン以上、最大積載量で五トン以上の新車。現在使用中の車は次の車検時に装着すればいい。中型トラックや乗用車などは対象外である。
装置はスピードリミッターと呼ばれ、速度が上がってくると燃料の噴射量を調節し、時速九十キロ程度に抑える。大型トラックの高速道路における法定速度は最高八十キロだが、追い抜き時の加速に必要なゆとりをみて九十キロとしている。
高速道路で多発する痛ましい事故死者の三割は大型トラックが絡んでいるとされている。高速道路建設以来、この実態が続いているというのに、これまで抜本的な対策は取られていない。
対策を取りにくい最大の理由は国内の物流がトラックによる高速輸送に依存し過ぎているためである。今度の速度抑制装置義務付けについても、日本の経済活動に支障をきたすとして抵抗がある。
しかし、これからの物流はトラックに偏らず、鉄道、船舶、航空機などをもっと有効に組み込むシステムに再構築していきたい。
高速道路における大型トラックのスピードは平均で時速百十キロが実態といわれる。前方に渋滞の列を発見しても急には止まれない。
さらに物流トラックは夜のうちに走り産地から都市などの消費地に届けるパターンが普通である。いきおい運転手の勤務条件は過酷となり、居眠り運転事故が多発する。
速度抑制装置の義務付けで、警察庁は事故が四割程度減少すると期待している。しかし、これだけで十分とはいえない。
注目すべきはレーダーとセンサーで前方の車との距離を測り、追突の危険があると音で運転者に警告し、自動的にブレーキをかけて減速する装置だ。トヨタやホンダがオプションで高級乗用車に装着している。スピードリミッターは二十万円、自動ブレーキ減速装置は八十万円といわれるコスト削減が課題である。
将来的には完璧(かんぺき)に安全な高度道路交通システム(ITS)の実現が待たれるが先は遠い。当面は車種ごとに最高速度は変えるにしても、スピードリミッターやレーダー減速装置の全車種装備を目指すべきではないか。単価は劇的に下がるはずだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20030908/col_____sha_____002.shtml