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2003年09月06日(土) 00時00分

エタノール混合ガソリン解禁 環境省 石油業界 ずれる思惑 東京新聞

 地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を出さない植物製アルコール「エタノール」を混合したガソリン販売が、法律で解禁された。しかし、石油業界はコスト上昇などを理由に協力には冷ややかで、市販のめどは立っていない。温暖化防止の国際公約である「京都議定書」を守るため日本は大幅なCO2削減が必要。環境省は削減の切り札の一つと意気込むが、同省と業界の思惑は今のところ“水と油”だ。

 エタノール入りガソリンの販売を認めたのは、先月二十八日に改正された「揮発油等の品質の確保等に関する法律」。エタノールは京都議定書で「CO2を排出しない」と判断され、温暖化防止のエネルギー源として脚光を浴び始めている。

 法改正は、50%以上の高濃度アルコール混合燃料で車両火災が相次いだため、経済産業省が安全確保の目的で混合燃料の上限を設定するために実施。エタノールについては「混合率が3%までなら現在走行中の車にそのまま使用しても安全上問題ない」と、温暖化対策目的の混合にも道を開くことになった。

 だが、業界団体の石油連盟は「まだ議論の段階」と販売には慎重な構えだ。冨山俊男・同連盟自動車燃料専門委員会副委員長は「温暖化対策には協力するが、混合ガソリンが本当に良い方法といえるのか」と指摘。環境省が「混合ガソリンは一リットル当たり百円前後」と、現行ガソリンとほぼ同じか安くなるとみているのに対し、同連盟は「価格は上昇する」と反論する。原料のサトウキビは、国内では沖縄でも取れるが現実にはブラジルなどからの輸入に頼らざるを得ず、新たな設備投資も必要となりコストがかかるとしている。

 日本は京都議定書で、二〇〇八−一二年にはCO2など温室効果ガス総排出量を、原則一九九〇年比で6%削減する義務を負う。しかし、排出量は増えており今後は10%以上の大幅削減が必要だ。

 同省は、エタノール混合ガソリンを温暖化対策の有力策と位置付け。混合ガソリンはブラジルや米国などで普及しており、将来的には、混合率を10%にまで高めることで、CO2総排出量を1%削減するという青写真まで描いている。一方、自動車メーカーでつくる日本自動車工業会は、検討課題もあるとして「中立的立場」としている。

<メモ>

 エタノール 生物起源のエネルギー源である「バイオマス」のエタノールとして、バイオエタノールとも呼ばれる。主原料はサトウキビなどで、酒の主成分となる。実際にはエタノールも燃焼時にCO2を排出するが、原料の植物がCO2を吸収していることから、CO2排出を増やすものではないとされている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20030906/eve_____sya_____005.shtml