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航空機テロやハイジャック対策の強化のため、国土交通省は、病院などで使われているCT(コンピューター断層撮影)装置と同じ原理の検査機や、ガソリンなど液体の危険物検査機を来年度から順次、全国の主要空港に導入する。プラスチック爆弾や火炎瓶などが瞬時に検知できる上、検査時間も短くなるという。併せて同省は国内航空各社に、非常時に客室内の様子を操縦席に映すカメラを設置するよう要請する方針で、費用の半額を補助する制度を新設する。
CTは、医療機関では頭蓋(ずがい)内や腹部のがん、リンパ腫などの診断法に利用されている。CT検査機には、プラスチック爆弾などの高性能爆弾や火薬を使った爆弾に特有の特徴が、あらかじめ記録されている。不審物を検知すると警報機が鳴り、荷物を輪切りにした映像が赤く色分けされる。
国交省の計画では、来年度に羽田空港の現在の旅客ターミナルビルと、来年末に完成予定の新旅客ターミナルビルに1セットずつ設置する。05年度から成田や関西、05年開港予定の中部などの国際空港に加え、大阪(伊丹)、福岡、新千歳(札幌)といった国内の主要空港に導入。06年度中に約30空港に設置する。
現在導入されているX線検査は、形状から銃や刃物などの武器は検知できるが、形状が一定でない化学物質が主原料の高性能プラスチック爆弾は検知できないなどの弱点があった。01年9月に同時多発テロが起きた米国では、今年中にすべての機内預かり荷物を同様の装置で検査することにしている。
同検査機が導入されると、乗客の手間が減るという。これまでは、荷物を預ける場合は搭乗手続きをする前にX線検査を受けなければならなかったが、搭乗カウンターに荷物を提出すれば、搭乗手続き中に検査が済むという。
液体検査機は、韓国の地下鉄放火事件を受けて導入するもので、搭乗口へ向かう乗客の手荷物検査場に設置する。現在は不審な液体を薬品などで分析しているが、新装置は液体に電気や光を通すだけで引火性が判断できるという。
来年度中に130機を、羽田や福岡など26空港に配備する計画だ。
一方、航空機内のカメラは、欧米でテロ後に普及しているもので、国内でも、99年に刃物を持った男に国内線旅客機を乗っ取られた全日本空輸が導入を進めている。全日空の事件では、単独犯か複数犯かの判断がつかず要求通り男を操縦室に入れ、結果的に機長が殺害された。
国交省では06年度末までに国内航空各社が所有する400機すべてへの設置を目指している。1機あたりの設置費は1000万円といい、半額を補助する制度を設ける。来年度は、羽田発着の主要路線を飛ぶ約20機への設置、05年度は北米や欧州に飛ぶ航空機への導入を見込んでいる。
同時多発テロ後、国際民間航空機関(ICAO)は飛行機を利用したテロが今後も考えられるとして、操縦席ドアの補強や、機内持ち込み荷物の検査徹底などを求めている。
国交省も、テロ直後から対策を強化したが、乗客からは「検査が厳しくなって時間がかかる」などの不満も寄せられていた。同省は「テロの危険性は今後も残る。欧米並みの対策を整え、検査のスピードアップを図りたい」と話している。
(09/05 06:00)