2003年09月04日(木) 15時06分
<横領事件>高額被害でも郵政局長ら厳重注意処分(毎日新聞)
福岡県高田町の特定郵便局長が定額郵便貯金など計約4億円(立件額2億1400万円)を横領した事件で、日本郵政公社九州支社が、史上2番目の高額被害だったにもかかわらず、当時の郵政局長ら監督責任者5人を厳重注意処分にとどめていた。国家公務員法上の懲戒処分には当たらないうえ、処分としては最も軽いもので、公表もしなかった。同支社は「先例に従い、犯罪当事者ではないので公表しなかった」と説明している。
同支社によると、元郵便局長は00年9月〜02年7月、顧客の貯金を引き出すなどして、18回にわたり計約2億1400万円を横領し、商品先物取引などに使っていたとされる。昨年7月5日付で懲戒免職になった。福岡郵政監察室(現・福岡監査室)は被害総額を約4億円と認定して送検し、郵政事業庁(当時)が全額を貯金者らに弁済した。
今年4月、福岡地裁が業務上横領に問われた元郵便局長に懲役5年(求刑・懲役7年)を言い渡したが、同支社は監督責任者の処分をすぐにはせず、8月20日付で、高橋守和九州郵政局長(現・日本郵政公社理事)ら5人を厳重注意処分にした。
一方で日本郵政公社の各監査本部は、1都2府3県の特定郵便局長らが計約5943万円をだまし取った詐欺事件で、今年8月13日付で関係者計45人に減俸1カ月、戒告、訓戒などの処分を出している。被害金額が格段に大きく、被害者も一般の貯金者という今回の事件の処分の軽さが際立っている。
同支社は「過去の類似事件でも懲戒処分者はなく、厳重注意処分だったのでそれに従った。先月の詐欺事件との処分内容に差が出たのは、監督責任の濃淡に差があるため。処分自体が遅れたのは監督責任内容、犯行手口分析などで時間がかかったため」と説明している。【山本泰久】(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030904-00001084-mai-soci